投稿日:2020年09月25日

ボリュームチェックとは?費用や期間はどれくらいかかるの?

カテゴリ設計

「ボリュームチェック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

土地活用を検討した際、最初に必要になってくるのが「ボリュームチェック」です。ここではボリュームチェックの意味や目的、かかる費用や期間などについてご説明してまいります。

ボリュームチェックイメージ

ボリュームチェックとは?

ボリュームチェックとは、一言で言うと「その土地にどれくらいの建物が建てられるか」「その土地にどれほどのポテンシャルがあるか」をチェックすることです。「ボリューム出し」と言われることもあります。

これは設計における「企画設計」の段階にあたります。

 

建物を建てるには、建築基準法や都市計画法、東京都などの各地方公共団体の条例、消防法といった様々な法的制限があります。

例えば建築基準法によると「建蔽率」「容積率」「日影による制限」「北側斜線制限」「高さ制限」「道路による制限」「用途地域」「防火・準防火地域」などといった制限が発生します。

こういった法的な制限を考慮した上で、その敷地にどれぐらいの広さの部屋が、何戸及び何階建てられるかといったことを建築事務所や設計士に依頼し調査、検討してもらうのです。

「設計」については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
基本設計とは | 建築設計用語を誰にでもわかりやすくご紹介!

ボリュームチェックを実施する目的

ボリュームチェックを行うことで、その土地を購入するとどれくらいの建物が計画でき、その部屋をいくらで賃貸に出せて、そしてどれぐらい収益があげられるのかといった概算見積もりや事業収支を算出することが出来るため、土地活用の事業計画を立てることが可能になります。

これがボリュームチェックを行う主な目的となります。

マンションやビルを建てようと思っているオーナー様や不動産業者は、このようにまずボリュームチェックおよび簡易プランを作成してもらい、土地の購入を検討するのです。

           

ボリュームチェックの方法

ではボリュームチェックはどのように行うのでしょうか。

ボリュームチェックの基本にあたる「容積率」を例に見ていきましょう。


容積率とは

容積率とは「建物全体の延べ面積(容積対象面積の合計)の敷地面積に対する割合」と定義されています。
たとえば容積率200%の場合は、100㎡の敷地に容積対象の延べ床面積が200㎡まで建てられることを意味します。

 

容積率=延べ面積(容積対象面積)÷敷地面積

1フロア100㎡だとすると2階まで建てられることになります。
1階が120㎡だとすると、2階は80㎡までしか建てられない、などです。
ちなみにエレベーターの昇降路や共同住宅等の共用廊下や階段部分の一部は延べ床面積には含まれません。他にも住宅用の地下室は地上部分との合計面積の3分の1までは延べ床面積として算出されないなど、様々な規制があります。

この容積率は用途地域によって異なっており、市町村ごとの都市計画によって決まっています。(指定容積率)
それが、さらに敷地の前面道路によって変わってきます。
前面道路の幅員が12m未満と狭い場合、道幅のメートル数に下記の計算式で容積率を算出します。

前面道路の幅(m)×0.4×100%=容積率
※用途地域が住居系以外の場合は、0.4ではなく0.6になります。
※一部市町村は0.8になります。

そしてこの計算式で算出された容積率と指定容積率を比較して小さいほうが、その土地の容積率となるのです。
尚、前面道路の幅が12m以上ある場合は、特に計算は必要なく、指定容積率がそのまま容積率となります。

 

制限に関する緩和

様々な規制がある一方、制限に対する緩和も登場してきています。
その一つが「天空率」です。これは斜線制限に関する緩和です。
上部が斜めに削られている建物を見たことがないでしょうか。
あれは斜めに削ることで太陽光により生じる道路の影の領域を減らし、道路を明るくするために行っています。
しかしその結果、せっかくの容積率が消化できなくなってしまう可能性もあります。
また建物のデザインをより自由にしたいといった要望から「天空率」という緩和処置が生まれました。
この計算方法を利用することで、斜めに削らずに建てられるようになったのです。

このようにその土地に関しては、「容積率」や「建ぺい率」「日影制限」「高さ制限」など様々な規制がある一方、緩和も複数あります。
そのために、その土地にどれくらいの建築物が建つのか設計に関する深い知識を持った一級建築士事務所などにボリュームチェックをしてもらう必要があるのです。

「一級建築士事務所」については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
一級建築士事務所とは?そのほかの建築士事務所とは何が違うの?

構造を変えるだけでも建築物の内容は変わってくる

まずは、その土地が検討に値するかどうか、容積率あたりで換算して価格に妥当性があるか、という最初のおおまかなチェックには簡易なボリュームチェックの方がスピーディです。

「リーズナブルでいい土地」、というのは複数の検討者が現れて購入競争になるのと、売主都合で売却を急いでいるからこそ安く買えるという事情が多く、検討時間が限られるケースが殆どです。

しかし、容積率の算出だけでなく、実際にどんな建物が建てられるか、自分のニーズに合った建物が建てられるのか、を事前に確認せずに仕入競争に勝つために簡易なボリュームチェックだけで購入するというのは、開発リスクが大きいため、不動産事業会社以外の一般の方にはなかなかお勧めしづらいです。

 

住宅地等で、簡易なチェックでも専門家がみて、最低限こういう建物には対応できる土地だろうという予想ができるなら、それで検討できる土地もあるので、ケースバイケースではありますが、例えば、東京都内の商業地等での中小ビル用地は、狭小地だったり不整形な土地だったりするケースが少なくなく、ある程度の具体的なプランまで想定した詳細なボリュームチェックまでやらないと建てたい建物が立たない、ということになりかねません。

 

下記の事例では、構造を鉄筋コンクリートにするか、鉄骨造りにするかの工法の違いで、柱の位置に違いが生じてしまい、容積消化しながら、1階のガレージに車を2台駐車できる建物にするためには、鉄骨造りにしないと難しいことが判明し、鉄筋コンクリートの建物が希望だった検討者は、この土地の購入はあきらめた、という事例です。

下記プランは説明用の一例で、建物全体のプランによって内容は変わってきます。また、ボリュームチェックでフロアプランの詳細までは入れないのが普通ですが、下記の事例は1階にどんなプランが可能かまで検討しないと購入検討ができないニーズだったため、上層階はここまでやらずに、1階のガレージのみ、家具レイアウトまでやってみた事例です。

実効容積率チェックのついでに、フロアプランまで精緻にやっていくと、ボリュームチェックを超えて基本設計への着手になってしまいますので、最初の容積率チェックで割高とか、ニーズを満たさないということがわかって取得を見送るのであれば、そもそも、ここまでやる必要がありません。

 

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ボリュームチェックにかかる期間や予算

ボリュームチェックにかかる期間は土地の形態や条件等で異なってまいりますが、大きな会社でボリュームチェックができる建築士が営業を兼務するような体制で、そういう社員が何人もいれば別ですが、少人数の設計事務所だと基本的に対応する設計士の業務の合間を縫ってやるケースが多く1~2週間程度は必要です。

当社のようにグループ内に設計部がある会社でも、たまたま設計部門が他の急ぎの事案と重なって余裕がないときは日数がかかることもあります。つまり、不動産会社の社員なら誰でもできる、という簡単なものではなく、知識不足の人がやって間違えた場合の影響も少なくないため、やはり設計の専門家である建築士がやるべき業務の一つです。

(急ぎの場合は、別途特急料金をかけることで1日~2日で実施する場合もありますが、役所チェック等にはどうしても時間がかかるものもあるため、急いでやるにも限度があります。実効容積率を概算で出すだけの簡易チェックであれば、物件によっては1日でも可能ですし、最近では、少し不動産の知識があれば、必要事項を入力するだけで簡易にボリュームチェックの算出をしてくれるアプリとかも出てきています。)

 

費用に関しては設計事務所や内容によっても異なりますが、中小規模のビル用地等で、3万~15万などで対応可能な場合もあれば、無料で実施しているところもあります。

また、おおよその目安を出す簡易なレベルと役所調査まできちんとやって詳細にやるレベルでは当然に手間と時間が異なるため、そのレベルによっても料金に差が出てきます。

基本的には建築士の人件費がボリュームチェックのコストなので、本来は無料でできるようなサービスではない、ということは理解しておく必要はあります。それでも無料で行っているところは、まずはそうしたニーズのあるお客様と接点を増やしたいという営業上の理由で無料にしているものであり、無料でできる範囲や回数には一定の限度や条件があり、その後の設計受注が前提であったり、何回目以降からは有料で、とかが一般的かと思います。

無料と言えども、このように手間と時間と専門知識が必要なものであり、無料対応してもらったのに設計をお断りする場合は丁寧に経緯と理由をお伝えするというのが礼儀です。

また、万一、選んだ設計事務所と予算等で上手くかみ合わない事態になった際に、またお願いできるような先を複数キープしておくというためにも丁寧な対応でお断りしておく方が賢いやり方でしょう。

 

 

 企画設計の一部であるボリュームチェックから、さらに設計全般の流れ等について知りたい方は下記ページをご覧下さい。

 

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