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新型コロナウィルスが新たな局面に差し掛かっています。
感染が急拡大しており「第3波」到来とも言われる一方、アメリカではワクチン開発成功のニュースが報道されアフターコロナへの期待が高まってきました。
しかし実際にはウィズコロナの時代が長く続きそうとも言われております。Withコロナの今、そして来たるべきAfterコロナを見据えた今後、働き方、そして働く場所としてのオフィスの在り方はどうなっていくのでしょうか。
サードプレイスの存在
新型コロナウイルスの拡大を受け、多くの企業がテレワーク(在宅勤務)を導入しました。
しかし長期間になるにつれ、テレワークでの様々な問題も浮上してきています。
そんな中改めて注目されてきているのが自宅(ファーストプレイス)でも、職場や学校(セカンドプレイス)でもない「サードプレイス」の存在です。
サードプレイスとは
サードプレイスという言葉はアメリカの社会学者レイ・オルデンバーグによって提唱された言葉です。その著書「ザ・グレート・グッド・プレイス」でサードプレイスの特徴として下記の8つをあげています。
<サードプレイスの特徴>
- 中立領域
- 平等主義
- 会話が主たる活動
- アクセスのしやすさと設備
- 常連や会員が存在する
- 控えめな態度と姿勢
- 機嫌が良くなる
- 第2の家
オルデンバーグによってサードプレイスになり得る場所としてあげられたのは、フランスの「カフェ」やイギリスの「パブ」イタリアの「エスプレッソ・バー」と言われていますが、その捉え方は国や文化によって異なってきているように思われます。
その一つが「サードプレイスオフィス」という言葉。
働く場所としてのサードプレイスの存在を考えていきたいと思います。
サードプレイスオフィスの種類
自宅でもない、従来型のオフィスでもないワークプレイスとしてのサードプレイスにはどういったものがあるのでしょうか。
シェアオフィス
シェアオフィスは、オフィスとしての空間や設備を複数の利用者でシェアすることを指します。定義は明確に決まっていませんが、フリーアドレス制を採用するところが多く、利用者が外出中などに都合にあわせて場所を選び、単発で不定期に利用されることが多いようです。
レンタルオフィス
レンタルオフィスもシェアオフィスと同様、机や椅子、ネットワーク環境といったオフィス設備があらかじめ整っている空間となります。シェアオフィスとの違いは、個別の占有スペースがあることです。自分専用のスペースをもつことが出来るため、自分のスペースに荷物を置いて帰ることも可能です。
そのため、数か月〜一年といった長期間で利用されることが多いようです。
コワーキングスペース
コワーキングスペースは「共に(Co)働く(working)」とその名が示す通り、共同で働くこと、利用者同士のコミュニケーションの形成を重要視している点が他のサードプレイスオフィスとは異なります。そのため図書館やカフェのようなオープンなスペースでデザインされていることが多いです。
これらのオフィスには明確な分類や定義はなく、サードプレイスオフィスやフレキシブルオフィスとも呼ばれています。
またここで挙げたのはほんの一例ですが、はっきりしていることは働き方や働く場所は多様化してきており、それが新型コロナウイルスの拡大によってますます顕著になってきているということです。
コーヒー・ハウスの歴史
ここでオフィスの歴史を少し振り返ってみましょう。
1729年にロンドンに建てられた東インド会社の建物がオフィス専用として建てられた最初のビルと言われています。
同社ではアジアとの貿易を行う上で膨大な資料が発生していました。資料収集や作成を行うにあたり、みんなが同じ場所に集まり一つの場所で集中して仕事を行うことで業務の効率を図っていたのです。
同じ頃のイギリスでもう一つ注目すべき場所があります。それが「コーヒーハウス」です。
イスラム世界で発したと言われるコーヒーをエキゾチックな飲み物としてチョコレートやタバコとともに提供しており、作家や商人達が集まり新聞や雑誌を読んだり、政治談議や世間話をしたり、お互いの情報収集を行っていました。
こうした空間はまさに現在のサードプレイスオフィスと似通っていないでしょうか。
大きく異なる点としては、当時のコーヒーハウスでは男性しか入ることが出来ず女性は立ち入り禁止だったことです。