投稿日:2020年03月05日 更新日:2024年01月15日

管理会社を変更するには。手順や注意点を徹底解説

カテゴリビル管理

管理会社の変更を検討したことがあるでしょうか。不動産の運用で収益を上げていくためには、長期的な運営が必要になります。管理会社を変更することで改善が見込まれるならば検討することも一案ですが、その前に注意点を確認しておきましょう。

ビル管理会社変更のイメージ

管理会社のかえどき?その理由とは

費用を見直したい

不動産運用の収益率を上げるためと言っても、何でもかんでもコストを下げれば良いというわけではありません。当然ながら固定資産税などの税金関係や、法定点検にかかる費用は必要経費です。一方管理会社への管理委託料は一般的に「賃料の3%〜10%」というように各社でばらつきがありますので、管理に関する費用見直しの際に安い業者へ変更したいと考えるのは当然です。
ただし安易に手数料だけで比較するのはおすすめできません。極端に安い業者は料金に含まれる業務の内容が必要最小限に満たない場合や、業務によってはその都度別途費用を請求するといった料金体系である場合も散見されます。複数の管理会社に一括で見積もりを依頼して比較する場合は、大まかな目安の一つと捉えるに留めると良いでしょう。

空室率を改善したい

例えば一棟マンションの場合、新築時はすぐに満室になったとしても遅かれ早かれ入居者は入れ替わります。築年数が経つにつれ、徐々に入居者が決まるまでに時間がかかるようになり、同時に空室率が上がっていくようになるというのはよくあるケースです。そうした状況に対して管理会社の募集活動に全く工夫がなされず、賃料を下げる以外の提案も特にないので、もっと集客力のある管理会社なら賃料収入のアップが見込めるのではと感じるのももっともです。

とはいえ管理会社の担当者の側からすると「近隣の新築・築浅物件と同じ賃料設定では無理がある」「設備が古くなっているがオーナーに費用のかかるリフォームに難色を示される」など物件の競争力が下がってしまう様々な理由があることも。

また、日々陳腐化していく物件をいかに保つかは管理会社全てのテーマ。引越しシーズンなど退去の重なる繁忙期に空室対策の綿密なマーケティング戦略を求められても、現実問題として対応が難しいのが実情です。

オーナーと管理会社の物件担当者に日頃から信頼関係が構築されていれば、空室が埋まらない理由や対策について具体的な改善案を冷静に議論できるかもしれません。しかしオーナー側が具体的な要望を伝えても、きちんとコミュニケーションが取れないような担当者(あるいは管理会社)でこれ以上の進捗が見込めないということであれば、担当者や管理会社の変更を検討してみてはいかがでしょうか。

物件管理の質が低い

管理業務は入居者募集や仲介などから、建物のメンテナンスなど実に多岐にわたります。なかでも日々の清掃や故障箇所の修繕、クレームなどは、その都度スピーディで的確な対応が求められます。共有部分の清掃が不十分、ゴミ問題等トラブル対応の不備など、ずさんな物件管理が原因で退去が続くなどということになれば賃料収入に響いてしまいます。レスポンスがいつも悪い、問題解決できず同じようなことが何度も起こる、といったいい加減な物件管理を管理会社の変更理由に挙げるオーナーもいるようです。

管理会社を変更するリスク

保証会社の保証が切れるリスク

管理会社を変更する際の大きなデメリットと言われるのが、保証会社の契約が終了してしまう点です。それぞれの保証会社の規定によって異なりますが、管理会社を変更するとサービスが引き継げなかったり、契約期間満了時に更新できなかったりする場合があります。

滞納のリスク

保証会社の保証契約が切れてしまうと、家賃保証がなくなってしまいます。その際に考えられるケースとしては「入居者に新たに保証会社に入りなおしてもらう」あるいは「保証なし」があります。

前者はすでに入居審査を経て入居している入居者に対して、新たに面倒な手続きを行ってもらわなければならない上、新規契約時の保証料の支払いが二重になるなど理解を得るのが非常に困難です。オーナーによる費用負担など、一定の入居者の負担軽減策が必要になる可能性が高いでしょう。

一方「保証なし」の場合は、常に滞納のリスクと背中合わせであるということを承知しておかなければなりません。
入居時に保証会社のみ利用している入居者に対しては、「連帯保証人をつけてもらう」という方法もありますが、少なからず入居者に負担を強いることに変わりはありません。

また、入居者は管理会社の変更によって家賃の振込口座を変更する手続きが必要になります。滞納するつもりがなくとも、うっかり振込先を間違える場合もあり、結果的に滞納となってしまう恐れもあります。
いずれにしても入居者に対して丁寧に説明し、煩雑な手続き等の負担に対して理解を得るようお願いする姿勢が必要でしょう。

契約内容の悪化のリスク

一棟ビル、マンションに限らず管理業務の内容は非常に多岐にわたります。単に見積りの値段だけを比較して、細かな契約内容が現在の管理会社より劣っていないかよく確かめるようにしましょう。

見落としがちな違約金発生のリスク

遠隔の設備監視装置やエントランス・エレベーターのレンタルマットは契約期間が長く、途中解約の違約金が発生する場合があります。次の管理会社へ引き継いでもらうと免除もあり得ますが注意が必要です。

エレベーターの点検コストにも注意

エレベーターのメンテナンスを独立系点検会社で行なっている場合、メーカー系のメンテナンスに戻そうとすると、メンテナンス導入の為の工事が発生し、思わぬ出費になる時があります。

法定点検の記録はきちんと管理しよう

法定点検の記録は項目ごとに書類の保管期間が定められています。本来はオーナーが管理しなければいけませんが、おまかせで手元に資料がないと後々解約した管理会社から取り寄せる必要があるかもしれません。

入居テナントが結んでいる直接契約に注意

入居テナントと直接清掃や室内作業の契約を結ぶケースがあります。この契約だけ残ると同じ建物に2つの管理会社が入ることになりかねません。一概に良くないとは言えませんが、なるべくなら契約の複雑化は避けたほうが無難でしょう。

管理会社を変更する手順

新しい管理会社の選定

管理会社を変更したい理由、現状の問題点を整理した上で改善が見込めそうな管理会社をできれば複数検討しましょう。先に述べたようにコストや業務内容を比較するとともに、物件の特性にあった管理業務を行うことのできる会社かどうかの見極めも大事です。例えば管理を任せたい物件が小規模な商業ビルなのに、ランキングが上位だからといって大型の分譲マンションの実績が豊富な管理会社を選んでも、必ずしも希望した管理内容とはならないかもしれません。

 

ビル管理会社については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
どこがいい?ビル管理会社の選び方

管理受託契約をチェック・契約と解約

細かな内容まで疑問を残さず契約内容をくまなくチェックして管理会社を選定・管理受託契約を締結したら、現行の管理会社との契約を解約します。解約条件もあらかじめ確認しておきましょう。特に解約通知の期間は会社によってばらつきがありますので、トラブルにならないように注意が必要です。解約が成立するまでの期間中に管理会社同士で管理の引き継ぎ業務を行います。清掃や入室作業にルールがある場合、明確にしておく必要があります。

入居者へ通知

管理会社が変更になると、家賃の振込先が変更になるだけでなく、設備故障の連絡や各種問い合わせ先も変更になるので、入居者への通知は確実に行わなければなりません。また最近では、管理会社の変更を騙って偽の口座に振り込ませ、家賃をだまし取る詐欺も報告されています。

まとめ

いかがだったでしょうか。管理会社の変更を検討するにあたっては、現状の問題点を改善したい項目とともにきちんと把握することから始まります。ランキング上位の会社が必ずしも適しているとは限りませんし、応対してくれた営業担当者の感じが良いからといって、実際の業務に携わる物件担当者もそうとは言いきれません。もし変更する場合には、そのような漠然とした印象に左右されないよう、業務の細かい内容や、またその費用について一つ一つ丁寧に回答してくれる管理会社を検討しましょう。

株式会社アドバンス・シティ・プランニングでは一級建築士事務所として創業し、現在も多数の建築士が在籍しております。
また都内を中心に幅広いエリアで管理業務を展開しており、500棟を超える実績がございます。
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この記事の監修

網代 淳一
(株) アドバンス・シティ・プランニング 管理本部部長 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)

 

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