投稿日:2019年02月07日 更新日:2023年09月27日

設計部インタビュー「装飾排除が機能美ではない」~目を惹く外観デザインのテナントビル設計

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アポラン自由が丘事例紹介#001  アポラン自由が丘
敷地面積:252.72㎡
延床面積:796.71㎡
用途種別:飲食店舗・物販店舗・事務所
規模:RC壁造 地下1階地上4階建
竣工:2016年9月

「アポラン自由が丘」が竣工したのは2016年9月。洗練された華やかな店が立ち並ぶ一方、緑ゆたかな落ち着いた街並みが魅力の自由が丘の一角に立地しています。

「機能美」の追求というと、賃貸ビルなのだから単にシンプルに装飾を一切排除するのがセオリー、のように誤解される方がおられるかもしれませんが、アドバンスでは、テナントビル(店舗事務所系の賃貸ビル)なら街並みの中で目を惹く特徴があって、なおかつお洒落な街に相応しい外観デザインを追求します。

竣工から2年近く経ち、すっかり街に馴染んだ佇まいの「アポラン自由が丘」について、設計を手がけた担当者に改めて話を聞きました。

― 設計受注の経緯は
S・T:某電鉄系ゼネコンさんのご紹介でお話を頂きました。

― そのゼネコンさんならグループや企業内に設計部門がありますよね?
S・T:そうですね。でもゼネコンさんもケースバイケースで外部の設計会社を選定されます。
今回は、中小規模の賃貸ビルに強く、お洒落な店舗ビルというご希望にマッチした設計会社として、当社をご存知の方がご紹介して下さいました。
アポラン自由が丘設計イメージ
― 「アポラン自由が丘」で目をひくのが階段を覆う網の目のようなデザインパネルです。
S・K:木々のなかにある鳥の巣をモチーフにしています。ビルのテナントを鳥の卵に見立て、ビルが大事に守り育てるようなイメージです。階段やエレベーターホールに木漏れ日のように光が透過してきれいに見えますよ。
S・T:ビル全体をどの角度から見ても、どこかしら発見があるような面白いデザインを目指しました。特に気を使ったのが緑道※からの見え方です。
デザインパネルはデザインのアクセントというだけでなく、階段が外からむき出しに見えるのを避けることで、テナントにとって建物の「付加価値」となるような役割を担っています。

 (※九品仏川緑道:自由が丘のメインストリートとも言える緑道で、沿道にはアパレル関連の店やレストランが立ち並ぶ。桜などの木々が多く植えられ、散策者に人気)

 

 アポラン自由が丘― 設計段階でテナントは決まっていたのですか?
S・T:いいえ。決まっていませんでした。
S・K:外観を白で統一しているのは、どんなテナントが入ってもいいように清潔感を出したかったからです。
S・T:建物はあくまでも各テナントの個性を演出するためのものです。建物が主張しすぎると逆にテナントの個性を阻害してしまいます。自由が丘の地域性も重視して周囲に溶け込みながら、特徴のあるファサードデザインというバランスを試行錯誤しました。

― 実際に竣工後のリーシングはどうでしたか?
S・K:9月末に竣工して12月末にはC工事が終了してましたので、順調な方だったと思います。テナントの業種をあらかじめ想定し、設計段階でエレベーターの着床を考慮したので、その後の工事自体もスムーズでした。
S・T:建物自体がちょうどいい規模で、テナントが入りやすかったのもよかったですね。大きすぎると賃料が高くなりすぎてテナントが限定されてしまいますし。
S・K:おかげさまで竣工時に入ったテナントが一度も退去することなく、ずっと入ってくださってます。オーナーさんも地下1階から4階まで、バラエティのあるテナントがすぐに決まって喜んでくださいました。

 「アポラン自由が丘」は竣工したから2年近く経っても、真っ白な外観がきれいなままですね。このような白いビルの場合、時間が経って汚れたりすることはないのですか?
S・T:実際オーナーさんもその点については心配されていました。
S・K:もちろん清掃などを怠れば汚れていきますが、そこまですぐに汚れてしまうようなものではありません。素材についてひとつひとつ説明して納得していただきました。
S・T:あと、白に統一することでテナントのサインが目立つというのもポイントでした。テナントごとにバラバラに設置するのではなく、サインスペースをきちんととることで統一感を保つようにしました。またファサードの1階部分だけ装飾をしていいことにしたのですが、結果的に明るい雰囲気になってよかったと思います。

 

 設計全般について重視していることは何ですか?
S・T:「法規」「予算」「プラン(デザイン)」ですね。
S・K:「予算の中で最適なものを提案する」のが私たちの仕事です。
アドバンス・シティ・プランニング武田
 初めて建てるなど、どんなものを建てたいかイメージができていないオーナーさんへの提案は、どのようにしているのですか?
S・K:必要であれば私たちが手がけた物件の見学ツアーを行います。設計担当が同行して、オーナーさんに実際に見てもらいながら構造や素材について説明します。
S・T:部屋で写真を並べて見てもらうのもいいのですが、やはり実物で見ていただいだほうがイメージが湧きやすいと思います。

 設計担当者は設計だけでなくお客様と直接やり取りする機会が多いのですね。
S・T:設計部全員が設計であるだけでなく営業でもあります。アドバンス・シティ・プランニングは30年以上の歴史があり、多種多様な物件を建ててきた実績があります。長い間には難しい問題や様々なご要望等にもお応えし経験してきていますので、オーナー様の多様なニーズにも対応できるという自信につながっていると思います。

 

アポラン自由が丘