ドローンによる外壁調査のメリット・デメリットとは?事例もご紹介

- 一級建築士
- 森峰 恒平
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目次
はじめに
外壁の仕上げ材等にタイルや石張り(乾式工法によるものを除く)、モルタル等を使用している物件に関しては、外壁の落下により歩行者等に危害を加えるおそれがあります。そういった事故を未然に防ぐ目的としておおむね10年に一度建築基準法で検査を行うことが義務付けられています。
そしてこれらの調査に関して2022年頃、ドローンによる赤外線調査が12条点検として国土交通省により正式に明確化されました。
そのためドローンによる調査がますます注目されてきています。
この記事ではドローンによる外壁調査のメリットやデメリット、また事例などをご紹介してまいります。
ドローンによる外壁調査
調査方法の仕組み
高解像度の赤外線カメラ等を搭載したドローンが建物の外壁や高所を撮影することで外壁パネルやタイルの浮きまたは漏水を発見することができる調査のことを言います。
赤外線により外壁の温度を測定することで、目に見えない浮きや劣化を調査することが出来るという仕組みです。
従来の調査方法とは
今までは専門の調査員が打診棒等で直接外壁を叩き、その打診を聞き分けて外壁材の浮きやひび割れ等の劣化状況を調査する方法が主流でした。
そのため高所に関しては足場を組んだり、ゴンドラやブランコを使用したりして外壁の全面を調査する必要がありました。
ドローンによる外壁調査のメリット
1. コスト削減
一番のメリットはコストの削減と言えるでしょう。
ドローンによる調査だと足場やゴンドラの使用は不要になるため従来の方法に比べ大幅に費用を削減することが可能です。
2. 調査時間の短縮
足場やゴンドラ等の仮設期間だけでも多くの日数を要する場合があります。
それに対しドローンによる調査ですと最短半日から調査できるなどスピーディーに実施することが可能です。
3. 高解像度データによる保存
赤外線によって診断された内容は画像データとして保存することが出来るため、データにより建物の変化を長期的に比較することも可能です。
また客観的で分かりやすい画像データを伴うレポートはビルのオーナー様や第三者へ報告するのにも役立ちます。
4. 安全性
高所での作業が不要となるため、作業員の落下事故等のリスクが減少しより安全に調査が可能です。また近年足場設置による防犯面での安全性も指摘されているのでそういった点でも良いでしょう。
ドローンによる外壁調査のデメリット
天候の影響を受けやすい
ドローンは精密機械のため雨天や強風の場合は飛行することが出来ません。
そのため調査をする場合は予備日等も考慮する必要があるでしょう。
目視や打診でしか分からない劣化は確認できない
北面など日射が当たる時間が少ない外壁やタイルの種類、外壁の下地材、建物の部位によっては赤外線の調査が困難な場合があります。
こういった場合は目視や打診の調査方法と併用する必要があります。
飛行に関する法規制・許可の取得が必要
小型無人機等飛行禁止法によりドローンの飛行が禁止されている場所に関しては注意が必要です。また人口が集中しているエリアや時間帯によっても飛行に許可が必要な場合がありますので、ドローン調査に精通しているのが望ましいと言えるでしょう。
プライバシーや近隣への配慮が求められる
騒音や振動は足場を組んだりするほどではないにしろ、調査をする際にはプライバシーや近隣への配慮に気を付けるようにする必要があります。
実績紹介
こちらのビルでは、タイル面ひび割れや塗膜剥離、白華現象等の劣化状況を撮影する可視光調査と、タイル面や塗膜の浮き、水分滞留状況が確認できる赤外線調査の両方の機能を備えたドローンを使用して調査した例となります。
いかがでしたでしょうか?
ドローン活用による調査はマンションやビルなど高所の調査に便利な反面、実施にあたり注意する点も多々あります。
場合によってはドローン以外の調査が適しているケースもあるので、現状に対して適した調査方法を提案することの出来る外壁調査の実績のある専門業者に依頼するのがおすすめです。
アドバンス・シティ・プランニングの建築課では建物特別点検、打診工事、外壁工事実施時など年間約20件の外壁調査の実績があります。
外壁調査にご興味がありましたら気軽にご相談ください。
ビル管理のお悩み

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。ビル管理における「清掃」「給排水」「エアコン」に関するよくあるお悩みと解決策をまとめました。日々のビル運営にお役立てください。
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- 一級建築士
- 森峰 恒平
株式会社アドバンス・シティ・プランニング 建築課課長 / 1980年奈良県出身。管理建築士・設備設計一級建築士・一級建築施工管理技士。修繕、リノベーションのエキスパート。
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