2027年蛍光灯禁止で何が起きる?照明更新と費用高騰に備えるリスク管理

fluorescent light

蛍光灯の「2027年問題」をご存知でしょうか。「水銀に関する水俣条約」に基づく国際的な規制により、2027年末をもって蛍光灯の製造・輸出入が原則として禁止される見通しとなっています。岩崎電気、三菱電機、パナソニックなどの大手メーカーでは、2018年頃より段階的に蛍光灯製造を中止してきましたが、いよいよ全面的に終了されることとなります。そのため、蛍光灯・LED照明の品不足や価格の高騰、照明器具の切り替え時のトラブルなどが予想されています。

オフィスビルやマンションなどのオーナー様にとって、照明設備の更新をめぐるトラブルや費用負担の問題は、今後顕在化してくる可能性があり、ビル運営に影響が出てくるかもしれません。

蛍光灯の製造禁止を背景に、テナント対応・設備更新・コスト管理の観点から、ビルオーナー様が押さえておくべきポイントを解説します。

目次

蛍光灯が使えなくなると… 

 

蛍光灯の製造が禁止されても「今ある蛍光灯がすぐ使えなくなる」わけではありません。しかし、流通量が減少し、交換用ランプの入手が徐々に困難になってしまいます。実際2026年現在、蛍光灯の在庫が枯渇しつつあり、価格が高騰しています。現時点で蛍光灯を使用しているビルは、いずれ必ずLED等への切り替えを迫られることになります。またLEDが普及し始めた2009年以降の照明も、次々に寿命を迎え始めており、交換の時期が重なる可能性があります。対応を先送りにすると、想定以上のコスト増やテナントとのトラブルを招く可能性があり、切り替えのタイミングと進め方を慎重に検討する必要があります。

オーナー様主導で交換する場合のコスト

一般的に蛍光灯の寿命は約6,000〜12,000時間とされ、通常の使用(1日あたり8時間程度)でおおよそ3年間が目安とされます。一方LED電球の寿命は約40,000〜50,000時間、おおよそ13年くらいが目安となりますが、照明器具自体の寿命も考慮すると10年くらいと考えると良いでしょう。LED照明は蛍光灯に比べて長寿命かつ消費電力も二分の一から三分の一程度と省エネ効果も高く、長期的にはコスト削減につながる設備投資といえます。しかし、初期費用は決して小さくありません。特に、既存の蛍光灯器具をそのまま流用できず、器具ごと交換する必要がある場合には、ある程度まとまった支出となることもあります。

また今後の需要動向も注意が必要です。2027年末という期限が明確に存在する以上、多くのビルが同時期にLED化を進めることになります。その結果、工事業者の人手不足や資材価格の上昇が起こり、交換費用が高騰する可能性が高いです。

すでに一部の現場では、電気工事の人材確保が難しくなっているという声も聞かれます。今後は「やりたくてもすぐに工事ができない」という状況もあり得ます。

ちなみにコスト削減については、東京都の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業補助金」など、各自治体で助成金が利用できる場合があります。活用することで負担を軽減できますので、計画的に申請を行いましょう。

いずれにせよ交換時期を後ろ倒しにするほど、コスト面でもスケジュール面でも不利になりかねませんので注意が必要です。

 

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貸室内の交換 

賃貸ビルでは専有部の蛍光灯の電球交換をテナント側で行うこともあるでしょう。しかし、蛍光灯からLEDへの移行においては、いくつか注意点があります。

オフィスビルでまず大きな問題となるのが、原状回復との関係です。従来の蛍光灯器具は、安定器と呼ばれる装置を前提として設計されていますが、LED化にあたってはこの安定器を取り外す、あるいは配線を変更する必要があるケースが多く見られます。

ちなみに、1972年以前に製造された安定器には有害な化学物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれていることがあり、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)への登録と、自治体への届出が必須であるなど厳格な処分方法が義務付けられています。

このような工事を伴う変更は、単なるランプ交換とは異なり「設備の改変」と見なされる可能性がありますが、「原状回復」という考え方自体成立しにくくなる可能性が高いです。なぜなら今後、蛍光灯は製造禁止により入手が困難になっていくため、退去時に元の蛍光灯設備へ戻そうとしても、同一仕様での復旧が現実的にできなくなるだけでなくその必要もなくなるからです。どの状態を原状とみなすのかという双方合意の調整が必要になります。

テナント側の独自判断で照明を交換することは、後々のトラブルになりかねません。交換する前の段階で、管理会社を通じてオーナー様とテナントが協議し、どのような仕様で更新するのか、退去時の扱いをどう整理するのかを明確にしておくことが望ましいでしょう。

またさらに重要な安全性の問題があります。近年、市場には既存の蛍光灯器具にそのまま装着できるとされる直管型LEDランプが流通していますが、安定器が残ったまま使用すると、発熱や発火のリスクが指摘されています。

テナントが照明設備の状況を把握せずに「蛍光灯をLEDに替えるだけ」と考えて取り替えた時に、結果として火災リスクや設備トラブルにつながる可能性があるのです。

このような事態は、最終的にはオーナー様の責任問題に発展する可能性も否定できません。したがって、テナント任せにするのではなく、あらかじめルールを明確にし、必要に応じて管理会社が関与する体制を整えておくことが重要です。


 

共用部の照明更新 

避難に関連する誘導灯や非常灯は法的な点検があり、都度対応していると思います。しかしエントランスや廊下、トイレといった美観や建物イメージに通ずる共用部の照明更新もオーナー様にとっては大きな課題です。

共用部の場合、一部だけをLEDに変更すると明るさや色味の違いによって見栄えが損なわれ、テナントや来訪者に与える印象が悪化する可能性もあります。

そのため、多くの場合はフロア単位、あるいは建物全体での一括更新が望ましいとされますが、その分かかる費用は大きくなります。

また、共用部の工事はビルの稼働状況にも影響します。夜間工事や休日対応が必要になるケースも多く、事前のスケジュール調整が必要になります。

こうした事情から、「まだ使えるから」と先送りにしがちな共用部の照明ですが、実際には計画的な更新が重要です。

修繕計画と資金確保の重要性

一般的に照明は比較的単価が低く見えるため、これまで長期修繕計画に明確に位置付けられていないケースも少なくありません。その結果、いざ更新が必要になった際に、予算が確保されていないという事態に陥る可能性があります。

照明更新に必要な費用をあらかじめ試算し、外壁修繕や空調更新と同様に、一定の周期で発生する設備投資の一つとして修繕積立の中に織り込んでおくことが重要です。特に中小規模のビルにおいては、突発的な支出が経営に与える影響が大きいため、早期の準備が求められます。

まとめ

蛍光灯の製造終了は、ビルの大小に関わらず影響を及ぼすと見られています。しかし、その影響の大きさは、事前の準備によって大きく左右されます。

●交換需要の集中によるコスト増

●共用部更新の難しさ

●テナント調整にて生じるリスク

●そして資金計画の重要性

これらを踏まえたうえで、計画的に対応を進めることが、安定したビル運営につながります。

管理会社としては、オーナー様の了承のもと、複数の物件での対応実績や協力会社のネットワークを活かし、更新計画の立案を行います。またテナントへの周知や工事の手配など、事前の情報共有やルール整備を滞りなく実施していく調整力が必要になります。

2027年末をもって蛍光灯の製造が終了というと、一見するとまだ余裕があるように感じられるかもしれません。「まだ使えるから」ではなく、「今のうちに備える」という視点が、これからのオーナー様には求められていると言えるでしょう。

 

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