投稿日:2024年04月10日 更新日:2024年04月12日

給排水トラブルからくるリスク ビルオーナー必読のベストプラクティスとは

カテゴリ修繕

  • 設備

建物はよく人間の身体に例えられます。

そして建物内に水を巡らせる給排水設備は「建物の血管」とも呼ばれています。

ここではビルやマンションのオーナー様にとって給排水設備の重要性を詳しく説明してまいります。

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給排水設備とは

まず給排水設備について具体的に見てまいります。給排水設備は水の供給に関わる「給水設備」と水の排出に関わる「排水設備」に分けられます。

 

給水設備

●給水管

飲料水を供給する水道である上水道の水を建物内に引き込むための配管です。

 

●貯水槽

「受水槽」「貯水タンク」とも言われ上水道の水を貯めておくためのタンクです。

 

●給水ポンプ

貯水槽に貯まった水を建物内の随所に供給するためのポンプです。

排水設備

●排水管

建物から排出される雨水、雑排水、汚水を下水道まで流すための配管です。

 

●通気管

排水管内の空気の圧力を調整するために設けられた配管です。排水をスムーズに流す役割を担います。

 

●排水槽

建物や敷地内で生じた排水を一時的に溜める槽のことを排水槽と言います。

排水槽から公共の下水道へ排出されます。また「建築物衛生法」に基づき排水槽の点検と洗浄が義務付けられています。

 

給排水設備のトラブル事例

それでは給排水設備によるトラブルとしてはどんなものがあるのでしょうか。

いくつかご紹介してまいります。

トイレが詰まった

例えばトイレが詰まったという場合も、ペーパー等の詰まりが原因でラバーカップの使用により解決できる軽微な場合と、専用工具で貫通工事が必要な場合があります。

さらに頻繁に発生する場合は、配管の勾配不良や通気不足が原因で配管カメラによる調査が必要になるなど様々です。

変な音がする

異常音が続く場合もその音がどんな音かによって原因が異なります。

例えばキュルキュルといった音の場合、パッキンや軸受け不良が考えられます。

またドンッとかゴンッといった鈍い音の場合はウォーターハンマー現象の可能性があります。

放っておくと悪化したり故障したりして断水につながる可能性もあるので、単なる音と軽視せず管理会社や専門業者に連絡するのがおすすめです。

水に濁りや異物が出るようになった

日常のメンテナンス不足や配管老朽化によるサビが考えられます。生活に支障が生じるだけでなく健康被害が懸念されるため水槽の清掃や水質検査、配管調査を実施し、排水管の更新などをおすすめします。

詰まりの原因を探るため、また漏水トラブルを未然に防ぐためにも配管調査は有効な手段です。
こちらの記事では給排水管の内視鏡調査の事例をご紹介しています。

IMG_2760多摩センター黒田ビル_給排水管内視鏡調査報告書抜粋

出典:ビル修繕 plus 「商業ビル 給排水配管内視鏡調査【多摩市】」

給排水設備修繕の事例

こういったトラブルに対処した給排水設備修繕の事例をご紹介します。

 

港区にあるテナントビルでは、原因不明の臭い問題に悩まされていました。

そこで調査を行ったところ、排水管からの漏水と亀裂が発覚しました。

もともとのトラブルは臭気でしたが、図面をしっかり読み込み調査を行うことで、本当のトラブルの元が発覚した事例です。

 

詳しい工事内容はこちら

給排水設備の重要性

先ほどの事例で紹介したように、給排水設備のトラブルというのは、ビルにおける様々な問題につながっていることが多いです。

 

というのも建物として給排水の設備から故障や不良が起こることが多いからです。鉄筋コンクリート造のビルの場合、法定耐用年数は47年とされていますが、建物に付随する設備の耐用年数はそれぞれ異なり例えば給排水配管に関しては30年、給排水ポンプ類に関しては710年と言われています。

大規模な修繕計画はビルの立地・規模・用途・仕様等によっても異なりますが、耐用年数は一つの目安になります。その上で設備や建物状況の定期的なチェックを行い計画の見直しを行っていくとよいでしょう。しっかりとした費用の確認と計画は建物の資産価値を長期的に維持するためにとても大切です。

 

給排水設備のトラブルは建物からのアラートかもしれません。何か不具合が発生したら軽視せず管理会社に相談し適切な対処をするとよいでしょう。

ビルの修繕に関して詳しく知りたい方はこちら

この記事の監修

森峰 恒平
(株) アドバンス・シティ・プランニング銀座支店・建築課 管理建築士・設備設計一級建築士・一級建築施工管理技士