投稿日:2019年02月07日

渋谷駅前テナントビルの大規模修繕~複数工事業者のアレンジが大事なケース

カテゴリ大規模修繕

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大規模修繕を行った渋谷駅前にあるテナントビル(店舗事務所系の賃貸ビル)である楠本ビルに関して、アドバンス・シティ・プランニングのCM部担当者に話を聞きました。

 楠本ビル

ー「大規模修繕」と聞いてもどういったことをしたらいいのかが分かりません。
マンションではよく修繕委員会などを設置し修繕を行っているかと思いますが、マンションと商業ビルの大規模修繕ではどう違うのでしょうか?

分譲マンションの場合は、管理組合でマンションを管理している場合がほとんどです。
一方、商業ビルは、ビルオーナー様が個人または法人でも異なります。


楠本ビル大規模修繕イメージ
立地や状況、建物ひとつとして同じものはなく、それぞれ特色があるため、建物ごとに大規模修繕のやり方が異なります。
また協力業者による得意不得意、作業が日中やるか夜間に行うかでも異なってきます。
大規模修繕の業者によっては「なんでも安くやります」といったところがありますが、修繕の中でも部分的にしか得意でなく偏りがある業者も多いです。
それよりも大切なのは、建築全体を知った上で、様々な選択肢を提示し提案できることだと思います。

ーだいたいどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

ビルの規模、施工する内容により異なります。
外壁の仕様(タイル貼り、塗装、吹付け、パネル等)、
屋上の仕様(アスファルト防水押え工法、アスファルト防水露出工法、防水シート張り、塗布防水)等により一概には言えませんが、建築工事のみ、屋上防水・外壁補修で3~6ヶ月 特殊な物で~8ヶ月でしょうか。
電気設備、空調換気設備、給排水衛生設備等の更新工事を行う場合も建築工事の期間プラス1~2ヶ月かかると思います。
あくまで、施工開始からの工期です。
また調査・基本計画立案から実施計画作成までに、建物の規模・得意先の要望等により半年から1~2年かかります。

 

 

 ー長期修繕計画案などがない状態から、開始する場合もあるのでしょうか?
kusumoto_bldg_img02私たちが管理している物件以外は、ほとんどの物件で長期修繕計画(LCC)が作られている案件はありません。
まずは、基本的な修繕周期に合わせ案件の仕様項目をあてはめ、改修履歴等を参考に修繕計画を作成します。
その後、見積もりを提示し、予算との調整を行い、改修する項目を確認調整します。

大規模修繕の意義の一つに、「建物の記録を作ること」があると思います。
何かトラブルがある度に、場当たり的に修繕を行っていると、記録がチグハグにしか残りません。


大規模修繕をする際には、状況がどうなっているのか、今までどういった修理をしたか、
調査するところから始まり、記録を残していきます。
記録があると、次に何かしたいときにもスムーズに対応することが可能です。

 

 

楠本ビルではどういう修繕をしたのでしょうか。
施工当時、北側斜線制限で10階が斜めに切られていましたが
2003年に施行された天空率を利用し、駅から見てスクエアなビルに見える様に
外壁パネルで形状を変更しました。kusumoto_bldg_img03
また、柱部分を同じくパネルで覆い建物のイメージを変えています。
他の外壁はクラック補修後、吹付けタイルを施し化粧直しを行いました。
共用廊下は床、壁天井とも更新しています。
屋上はアスファルト防水に押えコンクリート仕様でしたが、コンクリートの上にウレタン塗布防水を行っています。また1次側の電気設備配線更新、給排水配管の更新工事も行っています。

その他に、ビルのイメージを大きく変える工事として、テナントの入居状況が変わったことに対し、エントランス部分を変更いたしました。
もともと入ってすぐATMコーナーだったエントランスを
楠本ビルのエントランスホールとしての機能を持たせるよう変更し、
各テナントへ入るお客様、テナント様、銀行及びオーナー様に好評を得ています。

 

 

ー渋谷という場所柄、常に人がいて工事が難しかったのではないでしょうか。
テナントは営業中のまま、全て夜間作業としました。
隣地及び駅前面で再開発事業が行われており、
夜間及び日中作業の資材搬入調整、レッカー車設置等の調整には苦労しましたね。
kusumoto_bldg_img04

ー楠本ビルはどういった経緯で大規模修繕を受注したのでしょうか?
はじめは、耐震診断でご相談があったのですが、その後強度的に問題なしとの診断結果を得て改修工事を行うこととなりました。
オーナー様側から数社の徴収があり、その中で私たちが価格的及び施工計画的にもよかったため、という経緯があります。

 

地道な調査や報告での実績がオーナー様の信頼につながったのですね。
本日はありがとうございました。

kusumoto_bldg_img05

 

この記事を書いた人

C+One 編集部

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