選ばれるビルになるためにビルオーナー様が出来ることとは?
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こちらの記事では「選ばれるビルになるためにビルオーナー様が出来ることとは?」というテーマで、普段店舗・オフィスの仲介を専門で行っている株式会社アドバンス・シティ・プランニング企画リーシング部の佐藤課長よりお話をお伺いしました。
オフィスビルに関してビルオーナー様が出来ること
─── まずはオフィスビルに関して、テナント様に選ばれるビルになるためにオーナー様が出来ることはどのようなことがありますか?
佐藤:貸室内は入居テナントが内装工事を行うことが増えています。逆にテナントでは工事を行えない共用部をオーナー様でグレードアップすることで決まりやすくなるというケースは結構ありますね。
─── 共用部というとエントランスなどでしょうか?
佐藤:そうですね。オフィスでいう共用部だとエントランスホール、トイレ、エレベーター、給湯室周り、外観などです。
要はテナント様が手を加えることができない箇所に関して、手を加えることで賃料をあげたり、空室率の解消につなげられることがあります。
─── それは大掛かりな改修ではないとダメなのでしょうか?
佐藤:少し変えるだけでも効果的な場合があります。例えば古めかしい郵便受けなどを今風のものに変えたり、照明をあたたかみのある白熱系に変えたり、エレベーターの中をカッティングシート等できれいにするなど少ないコストでも大きく印象は変わるかと思います。
店舗ビルに関してビルオーナー様が出来ること
─── 店舗ビルに関してはどうなのでしょうか?
佐藤:既に建っている店舗ビルに関してビルオーナー様が何か出来ることというのは正直少し難しいかもしれません。ビルのスペックは後から変えづらいためです。
よく後からコンクリートの箇所にダクト用の穴を空けたいと言われるテナント様がいますが建物の躯体に関わる工事は建物にとってもリスクや負担が伴います。
他にも飲食店や美容院も実は結構電気を使うのですが後から電気の容量や給排水設備を増やすのは難しいケースが多いです。
そのため既に建っている店舗ビルに関して空室が埋まらなかったりする場合は、結局賃料を下げるといった選択にならざるを得ない場合もあります。
─── そうなのですね。ではこれからビルを建てようとするオーナー様やビルの建て替えを検討されているビルオーナー様が選ばれるビルにするために出来ることはどのようなことがあるのでしょうか?
佐藤:店舗ビルやオフィスビルは本当に立地やビルオーナー様の考え方によって様々です。
立地に関して言うと、あまり100坪のニーズがないエリアで100坪丸々使ってしまうよりは30坪、30坪、30坪にした方が結局成立しやすいといったことがあります。
─── なるほど、例えば既に建っているビルでもあとからワンフロアを分割したりなどは出来ないのでしょうか?
佐藤:不可能ではないのですが、店舗の場合は給排水等の設備を分けないといけないので現実的には難しいと思います。そのため結構広めの物件などはワンフロアでテナント募集を行っていても、分割も想定した造りになっているケースもあります。
─── 最初の計画時に考えられているということなのですね。
そういう視点で、計画の段階でビル全体を通して大切なことといったらどのようなことがありますか?
佐藤:天井高、窓、そして設備などは特に大事です。
天井高や窓は後から変えづらいものだからです。
ただ天井高を上げるのも、窓を増やすのも工事費用は高くなるのでバランスが大事ですね。
─── 天井高は低いとなぜダメなのでしょうか?
佐藤:例えばその店舗で歯医者さんや美容室をやりたいとなっても天井高が低いと出来なかったりします。美容室や歯医者などは水を使うので床に排水を通す必要があり床上げが必要なのです。
デザイン性は高いけれど天井も低いし、設備容量も足りてなく、これでは「入居できる業種が限定されてしまう」というビルも結構あるのです。
─── そうなのですね。どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
佐藤:いろいろなケースがありますが、ビルの上部分がオーナー様の住居で下を店舗にするといった複合ビルなどはどうしても上の住居部分の設計にコストや意識が向きがちです。
上の方にコストをかけた分、下の店舗部分は最低限のものとなるケースが多い気がします。
─── なるほど、先ほどオーナー様のご意向により異なるとのことでしたが、ビルオーナー様はご自身のビルに関して「こうしたい」というご要望は持っているものなのでしょうか?
佐藤:ビルオーナーと一言で言っても、法人化しているけれど実質個人のビルオーナー様だったり
私たちのような不動産会社がビルを持っている場合であったり、あとは投資目的で持っているような方だったりと様々です。
そして個人のビルオーナー様ですと「1階はお洒落なカフェにしたい」というご要望をお持ちの方は多くいらっしゃいますね。逆に、建て替え前に飲食を入れていてすごく苦労したからもう飲食は入れたくないといったオーナー様もいらっしゃったり。
─── 確かに1階にカフェが入っていると素敵なビルのイメージがありますね。
佐藤:そうです。だから賃料を無理してでも敢えて雰囲気のいいカフェを入れているビルもあるのですが、高い賃料を想定している場合、1階に素敵なカフェはなかなか難しいです。
例えば坪単価3万円を払うためには一体何杯のコーヒーを売らないといけないかということです。
坪単価とのバランスがあるので、坪単価を高くするのを目的とするか、希望のテナント構成をとるか、こういった点もオーナー様のご意向により異なります。
最近のテナントの傾向について
─── 以前はゴルフやサウナがブームでしたが、現在も変わらず人気なのでしょうか?
佐藤:以前に比べると減ってきましたね。エリアによっても異なると思いますが、最近は美容系クリニックやフレグランス系も増えてきました。
ただ全体的に今は需要と供給でいうと、出店したいという需要の方が多い状況です。
2、3年前のコロナの頃に比べると状況も坪単価も大きく違うので、テナントリーシングは本当に生ものというか面白いと感じています。
─── 店舗が好調とのことですが、そうするとやはり全フロアを店舗ビルにした方がよいのでしょうか?
佐藤:確かに満室想定であれば店舗ビルの方が賃料は取れるのですが、全フロア店舗ビルの方が必ずしもいいかというと、そうとも限りません。
そこは立地により様々で、事例で言いますと以前にとある私鉄の駅前でビル建て替えのお話がありました。駅前ではありますが比較的住宅街の立地で、オーナー様のご意向としては自分たちの老後のためといった安定経営をお望みでしたので、弊社としては上を住居で下を店舗という構成をご提案しました。
住居の方がたとえ情勢が変わったとしても空室リスクは低く安定経営には合っていると考えたためです。
ただオーナー様としては全て店舗にしたかったようで、結局は他社様で全て店舗ビルで建てられていましたが、その後やはりなかなか店舗は埋まっていなかったようで、かなり苦戦されているようでした。
ビルは建てて終わりではありません。
特に店舗は時代の状況によっても大きく変化があります。
そしてそういった様々な変化に対応できるビルになるには、最初の計画がとても大切です。
ビルの設計や建て替えでお悩みのオーナー様がいらっしゃいましたらぜひ一度ご相談いただければと思います。
─── 本日はありがとうございました!
<編集後記>
ビルの設計・管理(BM、PM)・修繕等ビルに関するトータルマネジメントを行っている株式会社アドバンス・シティ・プランニング。今回お話を聞いた企画リーシング部に関しては、特に時代の流れをいち早くキャッチしていることが求められる部署だと感じました。
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