中古ビル再生事例|中古ビルが高稼働ホテルになるまで
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ホテル「COCOSHUKU」は「つどう・こもる・くらす 自由で気ままなプライベートホテル」をコンセプトに都内の赤坂、新宿御苑前、蔵前において展開している全室キッチン付きホテルです。
1室あたり3~5名が宿泊できるなど、一般的なホテルとは異なる特徴を持ち、現在は主にインバウンド需要を中心に高稼働を継続しております。
その中のひとつである「COCOSHUKU 浅草蔵前」は、中古ビルをコンバージョン(用途変更)して誕生したホテルです。今回は、同事業の礎を築いた担当者にお話を伺いました。

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株式会社アドバンス・シティ・プランニング
事業企画部部長 - 武田 信二
1977年、広島県出身。
大学時代は建築学科で設計や建築デザイン、都市計画を学び、卒業後、設計事務所で5年勤務。
さらに不動産ディベロッパーで企画立案、設計業務から施工監理まで携わり10年間経験を積んだ後、2012年にアドバンス設計部に入社。2019年にCOOCSHUKUの運営を行う事業企画部に異動。
─── 「COCOSHUKU 浅草蔵前」は、もともとどのような建物だったのでしょうか。
武田 :もともとは事務所として使用していたビルです。
─── オフィスからホテルにコンバージョンする際、どのような課題があったのでしょうか?
武田:まず設計面では、既存ビルにおいて「新耐震基準を満たしていること」と、可能であれば「検査済証が発行されていること」が重要です。このビルについては、その条件をクリアしていました。
また、コンバージョンの際には、設計図と実際の建物が異なることがよくあります。特に設備に関しては、図面通りでないことが多いため、まず設備状況の確認を行うようにしています。
さらに運営面では、建築基準法、旅館業法、消防法の3つを確実に満たす必要があります。そのため、一級建築士事務所であるアドバンス・シティ・プランニングと、事業主である北辰不動産とで、何度も意見交換を行いました。
─── オフィスはホテルへ転用しやすいのでしょうか。
武田:オフィスは窓が大きく、階高が高いため空間を有効に活用できます。また、積載荷重が大きく、床の強度を確保できるため、ホテルへの転用に適していると思います。
─── 店舗ビルからホテルへのコンバージョンでも問題はないのでしょうか。
武田:店舗でも問題ありません。例えば飲食店舗の場合、ダクトがあるかと思いますが、既存の穴を塞いで利用する分には特に支障はありません。しかしながら新たに穴を開けるとなると、構造的にもいびつになってしまうためおすすめしません。
─── COCOSHUKUは中古ビルを再生利用した事業ですが、解体して新築するという選択肢はなかったのでしょうか。
武田:新耐震基準を満たしたビルの場合、解体するという選択はほとんどありません。取得する側としても、解体して新築するより、改修して活用した方が稼働開始までの期間を短縮できます。また、改修コストは新築コストに比べて圧倒的に低く抑えられるというメリットもあります。
─── 実際にホテルへコンバージョンしてからはどのような課題があったのでしょうか。
武田 :運営面では、まず体制を整えることが大きな課題でした。清掃やリネン業者との連携や、駆け付け体制をどのように構築するかなど、多方面に注意を払いながら進めました。
賃料に関しては、1フロアに何部屋設けられるか、収容人数をどの程度確保できるかを検討し、オフィス運営よりも高い利益をどう実現するかを常に考えて事業を進めました。
─── ホテル運営における利益の考え方は少し特殊だと思いますが、初期段階は苦労されたのではないでしょうか。
武田:非常に苦労しました。売上についてはある程度予測ができても、経費項目とその金額がなかなか把握できませんでした。清掃費やアメニティ、リネン類の費用など、すべてゼロから積み上げる必要があり、その根拠づくりが難しかったです。
─── 最後に、今後のCOCOSHUKUの展望をお聞かせください。
武田:COCOSHUKU事業も7年目を迎え、中古ビル活用に関するノウハウが蓄積されてきました。今後は、土地からの開発や中古ビルのコンバージョンを含め、現在の39室を200室まで拡大していきたいと考えています。運営面でも、さらにノウハウを蓄積し、安定した事業運営を実現していきたいと思います。
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