投稿日:2023年06月23日 更新日:2023年12月08日

【現役ビル管理士が教える】中古ビルの設備点検のポイント。

カテゴリビル管理

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毎月実施するビルの設備点検は具体的にどういう箇所を見ているのか、築35年のビルの設備点検を例にいくつかチェックポイントを紹介します。この記事は2022年11月に配信したウェビナーの内容を抜粋しております。写真だけではお伝えしきれない部分もありますのでぜひ動画でもご覧ください。ご覧になりたい方はこちらから屋上高架水槽の点検

点検時の装備について

点検時の現場で対応すべき場合に備えて道具は一通り持ち歩きます。また屋上で作業を行う際にはヘルメットを着用します。点検表を常に携帯して点検項目と照らし合わせながら点検作業を行います。

点検の前の準備

ビルの1階にある管理室で電灯分電盤の操作を行います。分電盤の中に照明用のスイッチがあるので切り替え、館内の照明を全て点灯した状態にします。あわせて照明タイマーの時刻にズレがないかも確認します。照明の24時間のタイマーはズレがないように毎月点検しないと、夕方の照明のつくタイミングが遅くなったり早くなったりしてしまいますので、重要なチェック項目です。

屋上の点検

屋上のドレン(排水溝)にゴミが詰まっていると排水不良になってしまうので、点検時にゴミが溜まっていればその場で取り除いたり、つまりがないかの確認を行います。屋上では飛散の危険があるものがないかを確認します。
まず空調の室外機のパネルについているビスですが、劣化して脱落してしまうとパネルが飛んで行ってしまう危険性があります。併せて空調機の配管のラッキング(配管を断熱材で包み、アルミやステンレス、鋼板や塗装材などを巻き付けた仕上げ)の状態も確認し、同様に飛散の危険性がないかを確認します。ドレンの点検
キュービクル(発電所から送られてくる高い電圧を、施設で使う100Vや200Vの電気に変圧する機器を収めた金属製の箱)の点検は、月に一度電気主任技術者の有資格者が行いますが、アドバンス・シティ・プランニングでは通常の設備点検の際にも確認しています。また塗装面が劣化し粉状になった状態をチョーキングと言いますが、表面を触ってみて手に粉がつくような状態だとチョーキングの現象が起きていると言えます。その他大きな錆がないかも確かめます。塗装面のチョーキング
屋上の平場の点検では、防水シートの浮きがないか、手すりがグラグラしていないか、丸管(ガラス清掃などを行う際にロープをかけるためのステンレス材の部材)が錆びていないかを順次確認していきます。
高架水槽の点検は槽内に汚れや錆がないか、電極棒に異常がないかを目視で確認します。キュービクルの点検

外壁の点検

シールが打ってあるコンクリートのつなぎ目、打ち継ぎ目地と言われる部分はもともとクラックが入りやすい部分です。シールが切れていて、茶色い水が出ているということは、錆が含まれた水がここから漏れている可能性が高いといえます。コンクリートの中の鉄筋に水が滲みたことで錆びが発生し、このシールの隙間から錆を含んだ水が出ている可能性がある状態です。外壁面の改修や大規模修繕を行う際の目安になる現象で、オーナー様への報告対象となります。打ち継ぎ箇所でなくても同様に茶色い水が出ているのは、やはり錆を含んだ水と思われます。打診棒で周囲を叩いてみると異常がない箇所と違ってゆるい音がしています。表面が浮いてきてしまっているのが分かります。このような現象も同様に報告対象となります。外壁の点検

屋外階段

屋外階段にある照明器具が避難誘導灯と一緒になっているものなので、バッテリーの有無、管球が切れてないかを確認します。連結送水管の表示灯が切れてないか、連結送水管に異常がないか、屋外にある場合にはケースに錆が出ていないかもチェックします。屋外階段のドレン溝もゴミや泥が溜まっていれば取り除きます。連結送水管の点検

屋内共用部

給湯室の水道の配管もしくは排水のパイプに水漏れがないか。電気設備は照明に切れがないか、換気扇が作動しているか、他に脱落がないかを確認します。避難誘導灯のバッテリーチェックを行います。その他廊下の照明に不点灯箇所がないか。自動火災報知設備の総合盤にランプが付いているか、その他異常がないか目視で確認。消火器もピンが抜けていないかといった簡単なところは毎月の点検時に目視で確認します。トイレも漏水箇所がないか、自動センサー付きの水栓はきちんと作動するか、換気扇が作動するか確認します。共用部分の扉の確認は、閉鎖速度に異常がないか枠にあたりがないかをみます。パイプスペースの内部は、メーターに異常がないかを確認します。

管理室

揚水ポンプ(飲み水を屋上にの高架水槽に上げるポンプ)と地下に溜まった水を排水するためのポンプは、通常は自動で制御します。点検時には、実際にポンプが正常に作動するか手動にして運転してみます。ポンプはナンバー1、ナンバー2というように大概2台1組で設定されています。ポンプの制御盤
まずナンバー1が自動で作動し、次はナンバー2が動くというような制御が行われています。点検の時には両方が動くか確認するために、手動で切り替えて運転させます。ポンプが回った時のモーターが正常値の電流が出力されているかをメーターで確認します。

この記事の監修

網代 淳一
(株) アドバンス・シティ・プランニング 管理本部部長 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)

 

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