「24時間かけつけサービス」のメリットと導入時の注意点
- 賃貸不動産経営管理士
宅地建物取引士 - 新井 晴男
- コピーしました
- この記事を印刷する
- メールで記事をシェア
賃貸管理の現場では、「24時間かけつけサービス」を導入する物件が増えています。
以前は24時間体制をとれない中小の管理会社を中心としたサービスでしたが、現在では大手の管理会社でも導入がされており、契約条件として火災保険と同様に記載されることが一般的となっております。
一方で、マンションオーナー様の中には、
「本当に必要なのか」
「入居者向けサービスに見えるが、オーナー側にメリットはあるのか」
「入居者負担があるのならリーシングのネックにならないか」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに、24時間かけつけサービスは“入居者対応”のイメージが強いサービスですが、オーナー様にとって注目すべき点はほかにもあります。
この記事では、24時間かけつけサービスの仕組みを整理したうえで、マンションオーナー様にとっての具体的なメリットと、導入時に注意したいポイントを解説します。
目次
そもそも「24時間かけつけサービス」とは?
24時間かけつけサービスとは、24時間365日年中無休で設備トラブルへ対応するサービスのことです。
一般的には、
●水まわりのトラブル
・蛇口やシャワーからの水漏れ
・台所、洗面、浴室の詰まり
・水(お湯)が出ない
・トイレの故障
●ガラスのトラブル
・ガラスが割れた
・ガラスにヒビが入った
●鍵のトラブル
・鍵を紛失して家に入れない
・ゴミ出し等の時に鍵を忘れて共用部のオートロックを解除できない
などが主な対応範囲になります。
管理会社が自社対応するケースもありますが、営業時間外には外部の24時間対応会社へ委託していることが一般的で、多くの場合コールセンターが一次受付を行い、必要に応じて提携業者を手配します。
入居者から見ると「困った時に連絡できる窓口」という印象が強いサービスですが、オーナー様視点で見ると、トラブル発生時に迅速な初動ができることがポイントです。
最大のメリットは「設備トラブルの深刻化を防ぎやすい」こと
オーナー様にとって24時間かけつけサービスの大きなメリットは、設備トラブルを早期対応しやすくなる点です。賃貸住宅の設備不具合は、発生そのものよりも、「対応の遅れ」によって被害が大きくなるケースが少なくありません。たとえば軽微な漏水でも、発見や対応が遅れることで、
• 下階漏水
• クロスや床材の張替え
• カビ発生
• 入居者同士のトラブル
• 保険対応
へ発展する可能性があります。
また、排水詰まりや給湯器異常なども、初期段階で対応できれば簡易修理で済むケースでも、放置されることで交換工事が必要になることもあります。
特に問題なのは、こうしたトラブルが夜間や休日に発生しやすい点です。
管理会社の営業時間外の場合に、対応できる人員が限られてしまうために、被害が広がるリスクがあります。
その点、24時間サポートへ加入をしていると、入居者が異常を感じた段階で急行できる協力会社が多数あるため、応急対応までの時間を短縮しやすくなります。
オーナー様にとっては、「軽微な修繕で済んだはずが、深刻な不具合になる。」
というリスクを未然に防ぎやすくなり、建物維持管理の観点でも大きなメリットといえるでしょう。
オーナー様のコスト負担を減らせる場合がある
設備の不具合が発生した際、24時間かけつけサービス対応できる範囲内であればオーナー様が費用を負担せずに済む場合があります。
24時間かけつけサービスは基本的に入居者がサービス費用を払います。通常、サービスを導入していない場合にオーナー様が費用を負担するケースでも、サービスに加入していれば、オーナー様は負担せずに済むことになります。
作業内容によって差はありますが、トラブルの際に作業員を派遣すると、どうしても一回あたり2〜3万円の費用はかかってしまいます。そう考えると費用面でのオーナー様のメリットは大きいと言えるでしょう。
結果として退去リスクの抑制にもつながる
24時間かけつけサービスは、結果として入居者満足度の向上にもつながります。
設備不具合が起きた際、入居者が最も不満を感じやすいのは、
• 連絡がつかない
• 誰も動いてくれない
• 対応時期が分からない
という状態です。
すぐ連絡がつけば、安心感につながります。またトラブル発生時に個別に業者を探す必要がなく、想定より高額の費用を請求されるなどの懸念がないのも大きな安心材料と言えるでしょう。結果としてクレームや退去リスクを抑えることが期待できます。
もちろん、24時間サービスだけで空室対策になるわけではありませんが、入居者の満足度が高くなることによって、退去リスクの減少に一定の効果が見込めるでしょう。
会社によってサービス内容は違う
一方で、24時間かけつけサービスには注意点もあります。よくある誤解が、「24時間サービスを入れれば全部対応してくれる」という認識です。実際には、サービス内容は会社ごとに大きく異なります。
たとえば、
• 電話受付のみ
• 応急処置のみ
• 出動費だけ無料
• 作業費は別料金
• 対応回数制限あり
など、契約条件にはかなり差があります。
また、入居者側が「全部無料」と誤解しているケースも少なくありません。
そのため、入居者に対しては
• どこまで無料か
• 何が有料か
• どこまで対応可能か
を、契約時に明確に説明しておくことが重要です。説明不足は、かえって新たなクレームの原因になります。
※株式会社アドバンス・シティ・プランニング(ACP)で導入している24時間かけつけサービス「ライフサポート24」では、ACPの設備管理部門と連携体制を構築しています。緊急性があると判断した場合には、オートロック解除(一般的な24時間かけつけサービスではできないケースが多い)も含めたより迅速な対応が可能になっています。
出動対応の内容を事前に明確化しておく
24時間かけつけサービスは便利ですが、オーナーが完全に任せきりにすると、思わぬトラブルにつながることがあります。多くの場合、24時間コールセンターは管理会社とは別の専門会社が運営しています。
夜間に設備トラブルが起きた際は、まず24時間コールセンターが受付し、提携業者が現場対応を行い、その後に管理会社やオーナーへ報告する流れになります。このとき問題になりやすいのが、「どこまで現場判断してよいか」が曖昧なケースです。
たとえば、
• 応急処置だけ行うのか
• その場で修理工事まで進めるのか
• 高額作業でも緊急対応を優先するのか
などの基準が整理されていないと、
「勝手に工事された」「不要な費用が発生した」という不満につながることがあります。
逆に、承認ルールが厳しすぎると、対応が遅れて被害が広がるケースもあります。
そのためオーナー様は、
• 緊急時の対応範囲
• 金額上限
• 夜間連絡ルール
• 修理判断基準
を事前に管理会社と共有しておくことが重要です。
これからの賃貸運営では「早期対応力」が重要になる
築年数が経過した物件では、新築物件のような設備競争が難しいため、「管理対応の質」が入居者の満足度に重要な役割を果たすことがあります。
その中で、24時間かけつけサービスは、
• 設備トラブルの早期発見
• 被害拡大防止
• 修繕コスト抑制
• 管理負担軽減
に役立つ管理インフラのひとつです。もちろん、導入すればすべて解決するわけではありません。
重要なのは、
• 誰が対応するのか
• どこまで対応するのか
• どのような運用ルールにするのか
を整理したうえで導入することです。
24時間かけつけサービスは、単なる入居者サービスではありません。使用するかわからないサービスのために入居者の金銭負担が発生すると、「リーシングに不利になるのでは」とのご心配もあるかと思います。
実際はほぼないと思われます。前述のとおり、24時間かけつけサービスへの加入が一般的になっていること、基本は必須で募集しますが、加入しなくてもよければ契約したいという方は外してご契約も対応できますし、加入は任意での募集も可能です。ただ、外して欲しいというご希望は稀有であり、ご希望どおり外した方に限って、入居後のトラブルが発生しやすい傾向がございます。
かけつけサービスを利用しなかったとしても、付帯のサービスで、年に4回コンビニスイーツプレゼント、映画やお買い物や宿泊・旅行が安くなる、健康・育児・生活のトラブル等の無料相談ダイヤルが利用できるなど、入居者のメリットもございます。
建物と賃貸運営を守るための“初動対応の仕組み”として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ビルオーナー様のお悩み解決事例集
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「PM・BMに関するお悩み」「バリューアップのお悩み」「プランニングに関するお悩み」等。数ある事例の中からピックアップした事例集をご用意しました。ダウンロードは無料です。
ダウンロードする執筆・監修
- 賃貸不動産経営管理士
宅地建物取引士 - 新井 晴男
株式会社アドバンス・シティ・プランニング PM部課長 / 1971年生。世田谷区出身。事業用・居住用賃貸不動産経営管理(プロパティマネジメント)のエキスパート。
- コピーしました
- この記事を印刷する
- メールで記事をシェア