不動産情報コラム

ACP研修センター紹介│「技術の蓄積」を目指して社員有志が作り上げた学びの空間が開設

作成者: ビル管理|Oct 3, 2022 3:51:59 AM

2022年8月、株式会社アドバンス・シティ・プランニング(以下ACP)に研修センターが開設されました。社内に技能を習得する環境を整備することで、ACPの経営方針である「技術を蓄積する」を体現する場とすることを目指したこのプロジェクトのアイデアを出し、一から研修センターを作り上げた発足メンバーの池澤さん(東京西支店・保守課)に、研修センター内を案内してもらいながら詳しくお話を伺いました。

―はじめに「研修センター」とはどのようなものかお聞かせください。

池澤:研修センターと名乗っていますが、実際はBM事業部の実地研修の場ですね。現物を使用して練習ができる設備になっています。当社の保守課では技術向上委員会という取り組みを行っており、そこから出てきたアイデアです。技術の向上をサービスの向上として考え、日々活動しています。経営方針の一つである「技術を蓄積する」、これを実践したいという思いからスタートしました。

―現状で何か具体的な問題があってのことではないのですね。

池澤:保守課に入社した社員は一定の経験がある人が多いので、現状で何か問題を抱えていることはありません。ありがたいことに管理棟数も増加しておりますので、将来的な社員の増加やサービス品質の向上に対する取り組みですね。
良い管理会社とは何かを考えると

  • 豊富な専門知識
  • 迅速な対応
  • 高い問題解決力
などが挙げられると思いますが、エンジニア毎にスキルの差があると業務の属人化やサービス品質の低下をまねきます。誰もが同じように取り組んで、一定のアウトプットを出せることを理想としています。

 

―ざっと見渡してキッチンやシャワー、トイレやブレーカーなどの設備がありますが、これらの分解や組み立て作業を学ぶのですか。部品がたくさんあって複雑そうに見えます。

池澤:取り付け方を練習すれば誰にでもできるようになりますよ。技術=知識を持っているかがポイントですね。

―このトイレもタンクの中をのぞくと、私が昔見て記憶にあるものとは違いますね。

池澤:今はほとんどこのような樹脂パック製になっています。ただ仕組みを理解するには昔のシンプルなタイプの方が勉強しやすいので研修用としてはこちらの方を使います。実際に水を張って作業することも可能です。

 

―今の節水タイプと仕組み自体は変わらないのですか。

池澤:技術の進歩はありますが、部品の構成はほぼ変わらないです。知識があれば理解するのに時間はかからないと思います。

―こういう部品は何か一つが壊れただけでトラブルになってしまいそうですね。

池澤:水が止まらなくなったりとか流れなくなったりしますね。外部の業者さんに頼むとどうしても費用が掛かってしまいがちですが、部品交換のみで済む場合には、私たちが自ら対応すれば費用も時間も最小限なので、オーナー様にも喜ばれます。

―池澤さんははじめからこういった作業ができていたのですか。

池澤:入社前に工業製品を扱う会社にいたことがありました。基本が分かっていればそれほど難しいものではありません。

―入社後は日々の業務の中で覚えていったのでしょうか。

池澤:教えてもらうことはありましたが、できるだけ自分で調べて覚えていきました。その方が習得も早いと感じています。でも偶然そんな現場にばかり出会えるとは限りません。そんな自分の経験から、いつでも誰でも色々な設備に触れることができて、自分で調べたり先輩に聞いたりしながら技術を蓄積していく、そんなふうにこの研修センターを活用してもらいたいと思っています。

―やっぱりいきなり現場に出るよりは絶対的に安心感がありますよね。

池澤:そうですね。現場ではお客様の設備を壊してしまうようなことがあってはいけません。また方法が適切でないと余計に時間がかかってしまうこともあります。研修センターでは現場に行く前に一回でも二回でも自分が納得できるまで何度でも練習することができます。

―これまでは何かある度に業者連絡して、日程調整してから対応していた案件を、まずは応急処置だけでもすぐに対応できるようになるのは大きな違いですね。

池澤:実際にあったケースで「感知器を付け終えていないけれど入居が明日なんです」というオーナー様から相談がありまして、すぐに感知器を用意して設置したことがありました。その時はお電話を頂いてから2時間程で対応ができました。必要なものが用意できていて、体が空いてさえいれば誰でも対応できる体制を目指しています。

―オーナー様からすると、費用以前に緊急性が高い場合にはありがたいでしょうね。

池澤:お湯や水が出ないといった場合に、構成部品が分かっていればどこが悪いのかおおよその判断が現場でできます。分解して調べることもできますし、技術があれば即対応も可能です。

―こういう作業がパパッと出来てしまうのはやはり理系出身だからなんでしょうか。

池澤:実は私は文系出身なんです。特別な出自は必要ありません。積極的な姿勢があれば誰でも可能なんです。興味を持つかが大事だと思います。

―そうなんですか。驚きです。何か資格も取得されているのですか。

池澤:はい。電気工事士など関連する資格をもっています。入門的な資格ではありますが国家資格です。電気に関しては保守課の7割が取得しています。

―実際の現場で不具合があって修理することになった場合、有資格者がいないと出来ないわけですよね。

池澤:そうですね。危険が伴う作業も発生しますので。ビル管理に於いて電気は基本的な部分になりますので、知識不足でお客様に説明ができないということは避けなければなりません。例えば「ブレーカーが落ちちゃうんだけど」とお客様に相談されても知識がないと「私じゃわからないので」と専門業者を呼ぶしかなくなってしまいます。知識があればある程度その場で診断できるので、その場で解決することができます。

―オーナー様としてはまず状況がどうなっているのかを、その場で説明してもらえるのかもらえないのか、この差は大きいですね。

池澤:そうですね。専門知識のある管理会社というだけでオーナー様は安心して頂けると思います。他にはこの分電盤も自前で設置しています。この研修センターは全部いちから作りました。業者さんに設置してもらえば簡単なんですが、可能な限り自分たちで作ることにこだわりました。業務のなかで可能な作業が少しでも増えれば、という考えもあります。現場で全てを自社で賄うことはできませんが、自社施工であれば中間管理費を抑えてコストダウンすることが可能ですし、技術力と価格競争力を備えていれば販売力が高いといえるのではないでしょうか。

 

―この研修センターの開設は具体的にどのような段取りで進めていったのですか。

池澤:まずコンセプトを決めて、次は企画書を書いて…と段階を踏んでいきました。丸投げせずに自分たちで完成させることには気をつけました。そこにはエンジニアとしての矜持があるかもしれません。実作業では東支店の鈴村さん、銀座支店の舌間さんから計画を共有したときに参加の意思を貰えたのが心強かったです。その後も他のメンバーや本店の総務部、銀座の建築課からも協力を得られたので私はそれほど苦労しませんでした。
私のしたことは現場マネジメント的なことばかりで、特にスケジュールに注意しました。現場対応でも「お店のオープン時間までに」と言った時間制限がありますし、トラブル対応ではまさに時間との戦いです。そんな差し迫った状況でもお客様に適切なご提案や対応をしなければなりません。研修センターの開設でも同じように「この日までに完成」と決めて、そこから逆算して作業を進めました。

 

―実際に自分がやるやらないは別にして、こうした研修センター設置等の経験があり、かつ仕組みが分かっていれば現場に出た時に作業のチェックもできますね。

池澤:見えにくい部分での作業ミスや未完了な部分はわかってしまいます。他にも例えば水漏れであれば「どこから出てますか」という応対が電話でできれば、ある程度対策を練った上で「これを用意していく必要があるな」などといった事前準備が可能になります。それだけ素早い解決にもなりますよね。

―今までは新入社員などの経験の浅い社員が電話を受けて「じゃあわかる人間に替わります」となっていたとしても、今後は誰もが池澤さんのように応対できる人材の育成と技術の蓄積を目指しているのですね。

池澤:そうですね。「これができる」と決めたレベルのことを全員ができるのが理想ですね。『アドバンス10項目』という基準を設けて運用していく予定です。

―こういった研修システムはどの管理会社でもやっていることなのでしょうか。

池澤:規模の大きいところではそれほど珍しくはないと思います。ただ私たちは研修センターの設備の設置も全て自分たちで作り上げている点では違いがあるのではないでしょうか。

―ACPで管理している物件は比較的小~中規模の建物が多いと思いますが、そういった規模を扱っている管理会社でこのような研修センターを設けているところは少ないですか。

池澤:そう多くはなくて、教育・研修のほとんどはOJTで済ませているのではないでしょうか。この規模の管理会社を探しているオーナー様にとっては他社との違いと言えると思います。

―研修の対象は保守課の方だけなんですか。

池澤:まだ明確に決まっているわけではないのですが、私としては事務職でも営業でも、役割や部署に関係なく誰でも使ってもらいたいと思っています。
研修センターの運用面は保守課全員が参加している「技術向上委員会」で決めるようにしています。研修センターも現場で廃棄で出た部材を社内講習用に使えないかというアイデアから始まっています。私たち保守課は現場対応を受け持つ裏方として、これからも技術を磨いていきたいと思います。

―まさに屋台骨ですね。今のアドバンスに保守課の方は何人ぐらい所属しているのですか。

池澤:今は14人です。各支店に3~4人ずつ配属されています。

―だいぶ忙しそうですね。

池澤:その…やりがいのある状況だと思います。実際にスケジューリングには苦労しました。みんな日常業務が忙しい中でどうにかやりくりして研修センター設置作業の時間を確保しました。作業にかかった日数だと4~5日間ですが、その時間を連続でとるのが難しかったのでみんなでひと月くらいかかりました。「今日はここまで」「次回はここまで」といったように少しずつ作業を進めていきました。
このサインプレートも材料を仕入れ、ステッカーを作って自分たちで製作しました。
研修に使用する資料はメーカーのマニュアルをファイリングしたものだけでなく、自分たちが作業している写真などを盛り込んだ手引書のようなものも独自に用意しています。

―ところで保守課の皆さんは個人専用のツールを持っているのですか。

池澤:みんな持っています!でもこの研修センターには道具がそろっているので手ぶらで来ても大丈夫です!

―皆さん道具に対してのこだわりはあるものなのですか。

池澤:ありますね。手にフィットするものとか。同じ製品でも持った感じが違うんですよ。

―いろいろな道具がありますね。

池澤:例えばこれは水道用のレンチで、こっちは鉄パイプを切る道具です。

―100均で売ってるようなものしか使ったことない身からすると、これまで見たことものないような道具ばかり…。

池澤:工具は値段に比例します。値段が高めの工具になると全然違います。例えばこのペンチだと2000円程度ですが、ちょっといいものだと5000円とか1万円くらいになりますね。

―その値段の違いは一体どこにあるのでしょうか。

池澤:例えば挟むグリップ力ですね。余分な力を使わなくても済みますし、切れ味も違います。
以前F1の整備で使うメーカーのトルクレンチ(¥70,000ほどです)を使ったことがありますが、こんなに違うのかと感動しましたね。専門店に行って触れるものがあったら少しでもいいので触ってみてほしいですね!

―マニアックな世界…。

池澤:そうですね。道具一つで効率もだいぶ違いますよ。

―現場でこだわりの道具をなくしたりしたらショックですね。
建築現場に行ったりすると、わりと道具がその辺に置いてあったりすることもありますけども、帰る時にはみんな「自分の道具はこれ」ってちゃんと持って帰るんでしょうね。

池澤:自分の道具は同じものが並んでいてもわかりますね。他人の道具を使うと「あ、これは違う」ってわかります。電動工具でもちょっとしたクセがあるものですし。

―その域に達するまでにどれくらいかかるものなのでしょうか。

池澤:私の場合2~3年くらいだったかと思います。例えばこのドリルも音を聞けばバッテリーがどれくらい残っているかわかるようになりますよ。「あ、もう充電しなきゃ」とか。

―完全に職人ですね。もともとこういう工具類が好きだったとか?

池澤:いえ、全くそんなことはないです。たまたまこの道に進んだというだけで。そういうわけでこの研修センターの工具も今後増やしていく予定です。また、研修を行っていくなかで意見が出ればどんどんブラッシュアップさせていきたいですね。

―個人的にはオリロー(避難器具)やってみたいです。

池澤:ああ、いいですね。消防点検も我々でやっている物件もありますので。

―法定点検業務もACPで行っているのですか。

池澤:自社でできるものはできるだけやる方針です。

―じゃあ資格も取得されているのですね。

池澤:そうです。消防点検は独占業務(資有資格者以外が携わることを禁じられている業務)なので、消防設備士か消防設備点検資格者の有資格者が行っています。
あと今後に向けて考えているのは感知器ですね。実際に煙をあててみようかとか。どれくらいの温度で作動するのか、作動したらどういったプロセスで音が鳴るのか、どこが光るのかといったこともやっていきたいと思っています。事前に理解があれば「警報が鳴っている」といったトラブルにも冷静に対応が出来ますよね。

―なるほどわかりました。今日はありがとうございました。
技術の向上、お客様の満足の向上をコンセプトとしてスタートした研修センターですが、当初は書籍の購入や点検現場の実地研修などを行っていたそうです。その後、現場だと業者間の鍵の取り扱いなどの問題があったり、やはり実際に体験できる機会をできるだけ多くの人に与えたいという思いから研修センター開設に至ったとのこと。現場で必要とされる機能を学べる設備を、ただでさえ多忙な保守課や各支店のみなさん自身の手で一から作り上げた理由は、自分たちで組み立てることができれば修理もできることにつながるとの思いから。
今後は新人はもちろんのこと、既存の社員も各支店によって扱うビルの特徴や設備も変わることから、普段あまりさわらない設備に触れてもらいたいとのことです。
また資格取得に対して座学も含め社内の有資格者がアドバイスしたり、実技のポイントをまとめていったりする役割も担っていく予定だそうで、まさにビル管理の技術を総合的に学び合える場として期待されています。

この記事の監修

池澤 春夢
東京西支店・保守課

 

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