総合ビル管理とは。分離型との違いを解説

ビルを所有し、本格的に運営を始めようという段階で、「どの管理会社に任せるべきか分からない」「空室が続いて収益が落ちている」そんな悩みを感じているオーナー様もいらっしゃるかと思います。

建物の老朽化、テナントの入れ替わり、修繕費の上昇──
こうした課題をどう乗り越えるかは、ビルの管理体制によっても大きく変わってくる可能性があります。

本記事では主に総合ビル管理について、PM(プロパティマネジメント)とBM(ビルマネジメント)をそれぞれ別会社に委託する分離型管理との違いも含めて詳しく解説していきます。

 

目次

ビル管理の基本構造 

 ビルの運営には、大きく分けて2つの管理領域があります。 

  • PM(プロパティマネジメント):テナント募集、契約更新、賃料回収など、収益を管理する「運営面」の仕事。
  • BM(ビルマネジメント):清掃、設備点検、修繕対応など、建物の状態を保つ「建物面」の仕事。

どちらも欠かせない業務ですが、性質はまったく異なります。PMは「入居者をどう確保し、収益を高めるか」という経営寄りの領域。一方のBMは「建物を安全で快適な状態に保つ」技術寄りの領域です。

ある会社はPM中心に運営面を支援し、別の会社はBMを中心に建物を守る――
このように、どの範囲を管理会社に任せるかで、ビル運営の仕組みは変わってきます。

総合ビル管理と分離型管理の違い 

ビルの管理を外部委託する場合、「総合ビル管理」と「分離型管理」の2つの方法があります。
一見似ていますが、情報の流れと意思決定の仕組みが大きく異なります。

分離型管理とは 

分離型管理では、

  • PM(プロパティマネジメント)=運営面の管理(賃貸募集・契約更新・賃料管理など)
  • BM(ビルマネジメント)=建物面の管理(清掃・設備点検・修繕など)
    それぞれ別の会社に委託します。

例えば、PMを不動産会社、BMを設備管理会社に依頼する形です。
それぞれが専門分野に集中できるため、専門性の高さがメリットです。

ただし、PMとBMが別会社になることで、情報共有や対応の連携に時間差や重複が生じることがあります。

たとえばですが、空調トラブルが起きた場合常駐員のいる大型物件では、管理室にてアラート発報で覚知→BM会社が対応・修理 →オーナーに報告及びPM会社と情報共有といった流れです。
これが中・小規模物件の場合、テナントよりPM会社へ空調トラブルを連絡(もしくはBM会社に直接連絡)→PM会社よりBM会社に連絡及び対応指示→BM会社が現地急行、状況確認し対応→(空調業者の対応が必要な場合、再現地調査のスケジュール調整→空調業者の現地調査の上修理見積→修理見積オーナーに提示・決済→修理日程を空調業者と調整の上PM会社へ通知→PMがテナントと日程調整の上修理実施→)PM会社へ結果報告、PM会社がテナントへ報告 → BM会社よりオーナーに再報告。
といった複雑な流れになる場合もあり得ます。

総合ビル管理とは  

一方の総合ビル管理では、PMとBMを1社が一体的に管理します。
設備点検や清掃などの日常管理から、テナント対応、賃料交渉、収支管理までを一本化。
業務に専門性が必要なので部署は分け担当が各々着く場合もありますが同社内で情報共有や連携はスムーズです。

これにより、管理会社が現場の状況を一元管理し、オーナーが経営判断をしやすくなるのが特徴です。

また、建物の修繕と収益計画を同時に見られるため、「修繕コストをかけても将来の退去防止につながるか」といった、長期的な資産価値の維持に役立つ提案を受けやすくなります。

ビルの種類に合った管理体制   

分離型は、各分野の専門性を最大限に活かせるため、大規模複合施設や特殊用途の建物に比較的向いています。
ただし、オーナーの経営判断のためにはPM会社BM会社各々より上がってくる情報を収集分析し方針を決める必要があります。一方、総合ビル管理は、中小規模のオフィスビルや商業ビルのように、日々の対応や意思決定が多い物件に適していると言われます。特に人の出入りが多いような対応スピードが重要なビルでは、総合管理の一体感と機動力が大きな効果を発揮しやすいと言えるでしょう。 

総合ビル管理の主なメリット 

総合ビル管理の魅力は、管理会社が現場の状況を一元管理し、オーナーが経営判断に必要な情報を得やすくなることです。

情報が1社に集約されることで、修繕や賃料調整、テナント対応の判断材料がオーナーに届きやすくなります。

さらに、担当者が建物の状態と収益状況の両方を把握しているため、「今の修繕が将来の退去防止につながるか」といった観点での提案を受けやすく、長期的な資産価値の維持にもつながります。

複数の窓口を持たず1社にまとめることで、オーナーは本来の経営判断に集中しやすくなります。

 

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不動産を管理する形としては大きく分けて「自主管理」と「管理会社に委託する(管理委託)」の2つがあります。それぞれメリットやデメリットをご紹介してまいります。

管理会社を選ぶ際のチェックポイント 

総合管理にも注意点があります。1社にまとめる分、サービス内容や実績の透明性を確認することが欠かせません。管理会社を選ぶ際は、次の3つを意識しましょう。

  1. PMBMの両方に実績があるか
     (賃貸管理戸数や修繕実績、更新率などを確認)
  2. 報告体制が明確か
     (月次報告書やオンライン管理システムなど)
  3. 担当者が現場感覚を持ち、提案してくれるか

「総合管理だから安心」ではなく、経営パートナーとして信頼できるかを基準に選ぶことが大切です。

まとめ

総合ビル管理を導入する際は、単に「管理をまとめる」だけでなく、自分のビルに合った運営方針を共有することが重要です。管理会社と目標をすり合わせ、「どの程度の収益を目指すのか」「修繕の優先順位はどうするか」といった中長期の方向性を一緒に考えることで、管理が経営支援として機能します。

ビル管理会社の選定は、単なる委託先選びではなく、資産経営の第一歩です。
総合ビル管理は、

  • 情報の一元化
  • 判断材料の提供
  • 資産価値の維持

3点でオーナーに大きなメリットをもたらします。

ただし、万能ではありません。大切なのは、自分のビルの規模・課題・運営方針に合った管理体制を選ぶことです。

管理を任せるものから経営の一部へ。これからのビル運営を安定させる第一歩として「総合ビル管理」を検討してみてはいかがでしょうか。 

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