賃貸経営における「先行募集」とは? 空室リスクを最小限にする賢い方法
- 宅地建物取引士
- 清水 直弥
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目次
はじめに
賃貸物件には繁忙期と言われる時期があります。
例えば2月、3月の引っ越しシーズン。
入居する人もいれば退去する人もいます。
賃貸物件のオーナー様としては、空室期間はなるべく短くしたいと思います。
この記事では、入居者の退去から次の入居者までの募集の流れと、それに伴う注意点などをご説明してまいります。
退去から入居者募集までの流れとは
入居者様の退去から次の入居者様の募集までの基本的な流れは下記となります。
- 既存の入居様から「解約通知」が届く
- 次の募集条件を決定する
- 新たな入居者様の募集を開始
- 既存の入居者様の退去立ち合い
- 原状回復工事
- 新たな入居者様の入居開始
それぞれのステップについてご説明してまいります。
解約から先行募集
まず既存の入居者様から「解約通知」が届くことで、はじめて「解約」が始まります。
管理会社としては「解約通知書」が届いたらオーナー様にご報告をしてこの時点で次の募集条件などを提案します。そして条件が決まり次第、すぐに次の入居者様の募集を開始します。
このように既存の入居者様がまだ入居中に募集や申し込みを行うことを「先行募集」「先行申し込み」と言います。
なぜ「先行募集」を行うのか?
「先行募集」を行う一番の理由としては、時間的なロスを最小限にすることと言えるでしょう。
退去が終わってから内見を募集するとどうしても時間的ロスが発生してしまうので、退去前に空く予定について仲介会社や入居者様に広く知らせることが最近の賃貸管理の傾向となっています。
「先行募集」を行うことで入居者様としてもいいお部屋をすぐに押さえられますし、既存の入居者様が退去後に内見をしてから正式に契約を進められるというメリットがあります。仮に内見後に気に入らなかったらキャンセルも可能です。
退去の立ち合いについて
退去の立ち合いでは、傷や汚れ、設備の故障があった時に入居者様と管理会社がお互いに確認をするという「相互確認」という方法で行ってまいります。
相互確認後、借主と貸主両方より金額の合意を取り、金額の合意が取れたら原状回復工事に着工していきます。
そしてその際の費用負担に関しては、項目によっては入居者様のご負担分、項目によってはオーナー様のご負担分と項目を分ける必要があります。
原状回復における費用負担の考え方
費用負担の考え方の基準となってくるのが、国交省が作成している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と賃貸借契約で決められた「特約」というもので、大きくこの2つを基準にして費用負担の振り分けは考えられていきます。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のために、判例や慣習的なものを踏まえつつ妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして定めたものとなります。
一方、契約自由の原則により多くの賃貸物件では、賃貸借契約書内で賃貸人と賃借人による「特約」が取り決められており、例えば特約に『クリーニング代は入居者様のご負担になる』と記載があれば入居者様がご負担することとなっています。
但しあまりにも入居者様に不利な内容は無効とされてしまうので、あくまで常識の範囲内で定めることが出来るとされています。
退去から次の入居までの期間
「解約」が開始され解約予告期間に約1か月(※解約予告期間により異なります)、その後原状回復工事が発注されてからも工事が終わるまでも約2~4週間と期間はかかってまいります。さらにこれは工事内容や部屋の広さなどによっても変わってまいります。
特に繁忙期などは時間がかかってまいります。
管理会社としても物件のオーナー様としてもこの空室期間は極力短くしたいと思っているため、先行募集などをうまく取り入れながらスムーズに入退去の入れ替えを進めていくのがよいでしょう。
こちらの記事は下記のページより動画でもご覧いただけます。動画では「相互確認」で確認するポイントなど、より詳しく分かりやすくご紹介しています。ぜひご覧ください。
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