2019年11月12日

【簡単に説明】民法改正のポイント「原始的不能」と「危険負担」とは

2020年4月1日より改正民法が施行され、不動産取引に大きな影響が出てくる可能性があります。今回の改正項目のうち、「原始的不能」と「危険負担」についてご紹介します。


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原始的不能

原始的不能とは、売買契約を締結した時点でその目的物がすでに存在せず、債権の履行が不可能であることが最初から確定していることをいいます。不動産の売買契約の場合、例えば火事でその建物が焼失していることなどがあたります。これまではこのような契約時に目的物がすでになくなっている場合、そもそも契約は無効であり、債務不履行になる余地はないとされていました。


要するに、債務不履行による損害賠償請求ができなかったのです。
そこで今回の改正民法では、原始的不能の場合でも債務不履行による損害賠償を請求できるという規定が明文化されました。今後は原始的不能の状態で売買契約を行った売主に対して、重大な責任が問われる可能性があります。

危険負担

危険負担とは売買契約後、引き渡しまでの間に目的物が毀損したりなくなってしまったりして、履行不能になった場合について売主と買主のどちらがその危険を負担するのかという問題のことをいいます。
例えば不動産の売買契約後、台風や地震などでその目的物がなくなった場合、これまでだと特約がない限り買主の代金支払い義務は消滅しません。特約がない場合は買主が負担することになっています。

今回の改正では、売買契約締結後引き渡し前に何らかの理由(台風や地震、火事など)で引き渡しができなくなった場合、契約を解除できるようになります。このとき売主・買主は原状回復義務が生じますので、契約時に頭金などが支払われている場合、売主は買主に返金しなければならなくなります。



いかがでしょうか。原始的不能、危険負担ともにこれまでとは異なり売主の責任が重くなっています。また改正民法が適用されるタイミングも重要です。契約が締結されたのが施行日前であっても、債務が生じたのが施行日以降の場合、改正民法が適用されるので注意が必要です。

この記事を書いた人

C+One 編集部
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