2020年04月02日

不動産投資 新築と中古どちらがお得? メリットとデメリットを比較

不動産投資を行う際、「新築・築浅」「中古・築古」、どちらを購入するかは重要な選択です。どちらもメリット・デメリットがあり、費用対効果やリスクヘッジなど、複数の観点から考える必要があります。

 

条件を同じくするため、ここでは以下の条件で話を進めます。
・築年:「新築・築浅」を築5年未満、「中古・築古」をそれ以降
・構造:一棟RCマンション
・エリア:東京23区内の山手線の外側のエリア、最寄り駅から10分以内
築年以外の要素が加わると論点がぼやけてしまいますので、築年以外は同じ条件としてあります。

 

エリアの違いについては「東京と地方都市、不動産投資はどちらで行う?」を、一棟と区分の違いについては「投資スタンスに合った物件選びがポイント!「マンション一棟買い」VS「区分所有」」をあわせてご覧ください。

 

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1. 新築・築浅物件のメリット

1-1. 安定した賃貸経営が期待できる

新築・築浅物件のメリットは、高い賃料水準ながら空室リスクが低く、安定稼働が期待できる点が挙げられます。

最新の設備をそろえた新築物件は入居希望者が多く、しばらくの間は「新築プレミアム」と呼ばれるような比較的高い家賃が設定可能で、仮に退去が出てもすぐ次の入居希望者が決まりやすいため、当面は安定した賃料収入が期待できます。

 

また、新築・築浅物件であれば雨漏れや設備の故障なども起こりづらいため、突発的な修繕費のリスクを少なく見積もることができます。さらに、物件の初期から関わることができるため長期修繕計画も立てやすく、費用を早い段階から積立できることもメリットです。

 

1-2. 長期の融資が期待できる

金融機関からの融資を利用をする場合、築年が浅ければその分だけ返済期間を長く設定することが可能です。

2018年初めに表面化したシェアハウス型投資物件における過剰融資問題以降、各金融機関の審査がより厳しくなる傾向が続いており、融資期間についても、以前は木造でも40年以上の長期融資を行っていた例もあったようですが、直近のヒアリングでは残存耐用年数内で最長35年という金融機関が多いようです。RCで47年、木造で22年と構造により法定耐用年数は異なりますが、築年が浅いほど長期の融資が期待できるでしょう。

 

※金融機関の融資条件については、物件の担保評価に加えて個人の属性や保有資産などから算定される信用に基づく審査により決まりますので、必ずしも全ての方が希望の条件で借入できる訳ではありません。

 

2. 新築・築浅物件のデメリット

2-1. 物件価格が割高になるため、利回りが低くなる

デメリットとしては、新築・築浅の物件は価格が割高になることが挙げられます。

割高になる理由は新築物件の価値が同規模の中古物件よりも高くなるためですが、価値というのは単純に建物や設備自体の新しさだけではなく、安定した収益に繋がる「賃貸競争力」や「市場での希少性」、さらに新築物件を建設するにあたっての立地の選定や建築に関わる「開発リスク」や「人件費のコスト」、「事業会社の利益」も含まれています。

 

価格が高くなることで相対的に利回りも低くなるため、東京23区内、駅近のRC物件であれば、表面利回り5%を下回る物件も珍しくありません。融資を使って購入する場合、条件によっては返済比率かなり高くなるため、キャッシュフローを生み出すことが難しくなります。

 

2-2. 新築未入居で購入する場合、最初は賃料収入が得られない

既に入居済みの物件を購入する場合は購入後すぐ賃料収入を得ることができますが、未入居で購入した場合、入居者を募集し、満室になるまでの数カ月間は賃料収入が少なくなる上、広告費などの出費も考慮しないといけません。金融機関の融資を利用していた場合は返済が先に始まってしまうため、キャッシュフローの悪化する点も注意が必要です。

 

参考

「新築」の定義

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、「新築」とは

【この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。】
とあります。

本来の用法から言うと、築1年未満であっても住人が入居している物件は「新築」とは呼べないのですが、業界の慣習として販売物件に「新築・満室稼動中」といった表現が使われることがあります。

 

3. 中古・築古物件のメリット

3-1. 好立地の物件が割安で高い利回りが期待できる

中古・築古物件のメリットは、建物そのものが古い分、同程度の新築・築浅物件よりも割安になるため、購入しやすいという点が挙げられます。

また、不動産価格の下落率ほど実際の賃料は下がらないことが多いため、相対的に利回りも高くなる物件が多いのも中古・築古物件の特徴です。高利回りの物件であれば多くのキャッシュフローを生み出すことも可能ですし、全額現金で購入の場合や金融機関から有利な条件で融資を受けることができればそのメリットはさらに高まります。

 

ただし、首都圏の好立地物件は高い資産価値が維持できているため、築古になっても利回りの相場はあまり下がっていません。例えば、同じような立地のRC造で築5年の物件と築30年の物件を比べた場合、築5年の物件が利回り5%前後なのに対して、築30年の物件でも利回り6%台中盤と、リスクに対してメリットが少なく、投資のうま味を感じにくいのが現状です。

 

4. 中古・築古物件のデメリット

4-1. 想定外の修繕費が発生する恐れがある

デメリットとしては、購入後、物件の状態によってはすぐに修繕費が発生するリスクがあります。

定期的な大規模修繕など、ある程度計算の出来る修繕だけではなく、雨漏りや設備の故障など、突発的な修繕費も考えておく必要があります。その物件にどのような修繕リスクがあるのか、改善するにはどの程度費用を見ておけばいいのかは実際に経験してみないとなかなかわかりません。また、見積もりには十分な調査検討などが必要なため、購入までに時間がかかるのも中古物件のデメリットです。

 

4-2. 空室対策に工夫が必要

一般的に築古になれば賃貸競争力が下がり空室リスクが上昇します。賃貸物件を探す際、同じような条件の物件であれば、多くの人は築年の新しい方を選ぶでしょう。競争力を上げるための対策としては、賃料を相場に合った金額に下げたり、リフォームにより陳腐化した設備を新しくするなどの方法が考えられますが、費用対効果考えずに手をかけすぎると、かかった費用が収益を圧迫し、実際のキャッシュフローが新築とさほど変わらくなってしまった、という事態にもなりかねません。

 

4-3. 融資条件が厳しくなる

新築の項でも触れましたが、ここ数年の傾向として、不動産購入に関する融資の返済期間は残存耐用年数をベースとすることが多くなっています。残存耐用年数の短い物件であればより短い期間で返済しなければならず、賃料収入に対して返済比率が大きくなるリスクがあります。結果的に中古・築古物件のメリットであった利回りの良さが失われ、手残りとしては新築・築浅と大差なくなってしまう可能性もあります。

 

また、新築・築浅物件に比べて融資割合も低くなる傾向があり、その分自己資金が多く必要になるのも中古・築古物件の特徴です。中でも耐用年数が終わっている物件や旧耐震の物件では検済(検査済証)を取っている物件も少なく、1階の車庫を店舗に転用していたり屋上にプレハブを建てて容積オーバーになるなど、遵法性に問題がある物件もあります。そういった物件は融資を受けること自体が難しいため、高利回りであっても、全額自己資金で購入できるような方以外は検討は難しいでしょう。

 

5. まとめ

このように、新築・築浅物件と中古・築古物件にはそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあります。

 

新築・築浅物件は、現在の利回りは低くとも長期間にわたり安定した賃料収入が期待できる上、修繕リスクも低いという特性から、ミドルリスク・ミドルリターンの投資であり、不動産投資初心者の方や、相続対策で不動産購入を検討されている方にも取り組みやすい物件であると言えます。


一方中古・築古物件は、現在の利回りは高く、大きな収益を出せる可能性はあるものの、安定稼働を続けるためには賃料の見直しや設備のリフォームなど空室リスクの対策は必須で、突然の修繕などにも備える必要があります。そのため、ハイリスク・ハイリターンを求める、不動産業者やセミプロの投資家向けの物件と言えるでしょう。

 

投資としてどちらが有利不利と一概に決めることは難しく、失敗しないために一番重要なことは、ご自身の投資スタイルをよく理解し、どちらがより合っているのか把握することです。

 

北辰不動産グループでは、自社開発の一棟RCマンションシリーズ「COCOCUBE/COCOFLAT」を東京23区内や首都圏のターミナル駅等を中心とした駅近の「職住近接」な好立地に建築し、投資家様にご紹介しております。2020年以降もご紹介予定の物件がございますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

この記事を書いた人

C+One 編集部

不動産投資、ビル管理、設計、大規模修繕など不動産に関する総合情報を分かりやすい形で提供しています。