2019年06月10日

不動産投資で節税を実現する仕組みについて

「相続税対策などの節税には不動産投資」とよく言われます。では、どういった仕組みで節税できるのでしょうか。


kakuteishinkoku

 

不動産投資には多くのメリットがありますが節税もその一つです。「相続予定の資産がある」「老後にかかるお金が心配」など、不動産投資を始めるきっかけは様々ですが、他の投資商品と同じように不動産投資にもリスクはあります。節税できる税の種類やその仕組み、また陥りやすいリスクについてご紹介します。

不動産投資でできる節税とはどんなもの?

所得税・住民税

所得税とは、給与や賃料などの収入にかかる税金のことをいいます。不動産所得の課税対象は、「賃料収入-必要経費」となります。よって、所得税を節税するためには必要経費をひいた後の不動産所得を減らさなければなりません。詳しい仕組みは後述します。

住民税は自分が居住している自治体に収める税金です。所得に応じて税額が決まるので、所得税と同じように不動産所得を減少させることで節税ができます。

相続税・贈与税

相続税は「相続税額=(全ての財産額-基礎控除額)×相続税率」で金額が決まります。不動産が相続税対策として有効だと言われる理由は、現金や有価証券などは時価で評価される資産なのに対し、不動産は時価よりも安く評価される傾向にあるからです。不動産の評価額は土地と建物とに分けられます。土地は路線価(市街地の場合)の概ね80%程度。建物は建築費用の50〜60%程度に評価されるケースが多く、その建物で賃貸経営している場合は「貸家建付地評価」となり、さらに30%控除されます。また、敷地の種類によっては「小規模宅地の特例」を利用することができ、50%まで評価額を減額することができます。



贈与税には「暦年課税」と「相続時生産課税制度」の二種類の課税制度があります。このうち不動産投資と関連する贈与税は「相続時精算課税制度」です。相続時生産課税制度とは、2,500万円が特別控除される生前贈与の制度で、相続発生時に相続財産と合算して相続税額が決定されます。
※贈与者が60歳以上、受贈者が20歳以上かつ直系卑属(子・孫)といった適用条件があり、一度相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻すことができないなどの注意点があります。
不動産投資による贈与税の節税効果としてはまず、相続税と同じく課税評価額を下げることができる点があります。それに加えて相続発生時には、不動産の評価額が贈与時のもので計算されるという点です。あらかじめ贈与しておけば、不動産の所有者が生前得られたはずの収益にかかる相続税の費用を減少させることができるのです。また、贈与時よりも将来的に資産価値の上昇が見込める物件であれば、節税効果はさらに大きくなる点がメリットと言えるでしょう。

不動産投資で節税になる仕組み

損益通算

損益通算とは2つ以上の所得があるときに、一定期間の利益と損失を文字通り通算することを言います。例えば会社員など場合、給与所得から不動産投資の赤字を差し引いて計算することによって給与所得を減らします。税金はすでに源泉徴収されているので、確定申告することで赤字分に課税されていた税金が戻ってくることになります。特に、不動産を購入した初年度は不動産取得税や登記費用から物件選びに利用した交通費まで、様々な費用を経費として計上することができるので節税効果が高いと言えます。また、修繕費や管理費、保険料などの年間費用も経費になるので忘れずに計上しましょう。
ちなみに損益通算ができるのは、不動産経営などを代表に、農業やサービス業といった「事業」が対象です。アフィリエイトなどは雑所得となり、損益通算の対象外です。また、売却による利益も「譲渡所得」となりますので損益通算できません。

減価償却

減価償却とは、長期にわたって利用・劣化していくものを、法律で決められている年数で徐々に経費として計上していくことです。不動産の場合、物件の建物構造によって「法定耐用年数(鉄筋コンクリート造:47年 重量鉄骨造:34年 木造:22年)」があり、これをもとにした償却率によって減価償却費が計算できます。減価償却費を経費として計上することで、実際にお金を支払わずして会計上の所得を減らせるのが大きな特徴です。ちなみに減価償却は購入した不動産の全てを対象にできるわけではありません。土地は経年劣化しないという考え方による制度なので、減価償却資産は建物部分のみとなります。

節税目的の不動産投資には注意

帳簿上の黒字に注意

減価償却費と必要経費の計上は、不動産運営をしていく上で大きな節税効果が見込めます。ただし減価償却は年数が決まっており、耐用年数を過ぎれば経費として計上できません。また毎月のローン返済において、経費として計上できるのは利息部分のみで元金は経費になりません。不動産投資で広く使われる「元利均等返済(毎月の返済額が一定で、当初は利息の割合が高く、徐々に元金の割合が高くなっていく方式)」の場合、元金返済額が減価償却費を上回る「デッドクロス」に陥る可能性に注意が必要です。手元には資金が残らないにも関わらず帳簿上の計算は黒字であるために、所得税を多く課されてしまう事態になってしまうのです。

赤字による物件の負動産化に注意

不動産投資による節税は、いかに不動産所得を減らすかがポイントです。だからといって損益のバランスや利回りが低くても構わないという考え方は危険です。減価償却費や経費ではなく、物件の資産価値そのものの下落による赤字では、将来的には節税どころではなくなって本末転倒になりかねないので注意が必要です。一般的に家賃は購入時が一番高く、賃料収入も次第に減少していく傾向にあり、修繕費などの経費も計画的に準備しないと、年々利回りが下がっていってしまいます。またそのような物件の場合、健全な賃貸運営が成り立たない可能性があり、将来的な売却も失敗しかねません。

金融機関から融資を受ける場合は注意

節税目的で赤字となっている不動産を所有しながら、1棟(区分のマンション投資であれば1戸)だけではなく複数の物件を購入していく場合、融資を受けるのが難しくなるかもしれません。空室が多いなど家賃収入の見通しが悪いと、融資が難しいと判断される可能性が高いからです。長期的な収支について、きちんと説明できるようにしておく必要があるでしょう。

節税だけを目的にするのは失敗のリスクが大きい

不動産は相続税や給与所得者の所得税などについて、節税効果にメリットの多い投資対象です。本来不動産投資は、売却時に得られるキャピタルゲイン狙いの場合を除き、中長期的な運用に適した資産運用方法です。その目的は安定的に家賃収入を得ることにあります。短期的な節税だけを目的にした結果、後々デッドクロスに陥ることのないよう、あらかじめ収支のシミュレーションを行うことが大事です。将来、物件を売却する必要が生じることも考慮し、年間を通じて利益を生むことができるような物件を選ぶことが重要です。

 

不動産投資ガイドはこちらから

この記事を書いた人

C+One 編集部
不動産投資、ビル管理、設計、大規模修繕など不動産に関する総合情報を分かりやすい形で提供しています。