更新日2026年07月22日 公開日2018年05月15日
相続対策として不動産を検討する際、かつてはタワーマンションの高層階を活用した節税手法が注目された時期がありました。
しかし現在は、マンション評価の見直しや総則6項の考え方も踏まえ、単に相続税評価額を下げることだけを目的にした不動産購入には注意が必要です。
本記事では、2026年時点の制度を踏まえ、タワーマンションなどの区分マンションと、一棟収益RCマンションを比較しながら、相続対策として不動産を検討する際の視点を整理します。
相続税の節税対策の王道、不動産購入
市場価格と相続税評価額の差を利用

不動産は、相続税評価額が市場価格と一致しないことがあり、この差に着目して相続対策に活用されることがあります。
かつては、タワーマンションの高層階について、市場価格に比べて相続税評価額が低くなりやすい点が注目されました。特に、同じ建物内でも階数や眺望によって市場価格に差が出る一方、従来の評価方法ではその差が十分に反映されにくいとされていました。
ただし、2024年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用の区分所有財産については、新たな評価方法が適用されています。現在は、従来と同じ前提で「タワーマンションは大きく評価額を下げやすい」と考えるのではなく、最新の評価ルールを確認する必要があります。
タワーマンションで相続対策をする際の注意点
「安易なタワーマンション相続対策」には税務否認リスクの恐れ?
相続税の軽減のみを主な目的として、相続開始直前に高額な不動産を取得するようなケースでは、税務上のリスクが問題となる場合があります。
特に、取得時期、借入の有無、取得目的、相続発生後の売却、評価額と市場価格の乖離などの事情によっては、財産評価基本通達どおりの評価が認められない可能性もあります。
そのため、タワーマンションに限らず、不動産を相続対策に活用する場合は、節税効果だけでなく、取得目的、保有期間、賃貸運用の実態、承継後の管理方針まで整理しておくことが重要です。

賃貸目的で「億ション」を買う場合は空室リスクに耐えられるような余裕が必要
一般的に、タワーマンションは高層階になるほど賃料も高額になります。リーマンショックの後、そんな都心の高級賃貸が軒並み空室に悩まされる状況に陥ったのは、まだ記憶に新しいところです。
1室しか保有していない場合、その賃料収入は100か0のどちらかしかありません。賃料が入らないと、融資の返済や税金などは手出しになり、節税できた金額以上の費用が発生してしまう可能性もあります。
今の日本経済は世界経済と連動していつ何が起きるか予測がつかない時代ですから、高級タワーマンションを賃貸目的で買われるような方は、しばらくは空室にしようが、大幅に賃料下げようが平気だ、というような方でないと安易に手を出すのはちょっと心配です。
相続対策で収益不動産を検討するなら、一棟RCマンションという選択肢も!
安定稼働が期待できるワンルーム中心の1棟ビル
区分マンションは、一室単位で取得できる一方、賃貸運用においては空室時に賃料収入がゼロになるという特徴があります。
一方、一棟収益マンションは複数戸で構成されるため、空室リスクを建物全体で分散しやすい点があります。特に、交通利便性が高く、単身者や少人数世帯の需要が見込めるエリアでは、安定した賃貸運用を検討しやすい場合があります。
ただし、一棟物件は取得金額が大きく、修繕費、管理体制、借入条件、将来の売却可能性なども重要な確認項目です。
新築一棟RCビルの方が金額の大きな「ローンのレバレッジ効果」を狙えます
一棟収益マンションを検討する際は、借入を活用することで自己資金に対する投資効率が変わる場合があります。
ただし、レバレッジ効果は、金利、借入期間、自己資金割合、空室率、修繕費、税金、将来の売却価格などによって大きく変動します。借入を増やせば投資効率が高まる可能性がある一方で、返済負担や金利上昇リスクも大きくなります。
また、実際の融資条件は、金融機関の審査方針、借入人の資産背景・所得状況、物件の担保評価、収支、築年数、エリア等によって異なります。具体的な購入可能額や借入条件については、金融機関への個別確認が必要です。

好立地の低層型一棟RCマンションは今後、希少性が増していきます
将来性が期待できる、手頃な価格の新築一棟RCマンションが将来枯渇する恐れ?
東京23区内の駅近立地では、まとまった規模の一棟RCマンションを新築・築浅で取得できる機会は限られる場合があります。
ただし、希少性だけを理由に判断するのではなく、取得価格、利回り、賃貸需要、修繕計画、融資条件、将来の売却可能性を含めて、総合的に検討することが大切です。
相続対策として不動産を検討する場合は、相続発生直前ではなく、時間に余裕を持って資産全体の方針を整理しておくことが望ましいでしょう。
本記事は、不動産を活用した相続対策に関する一般的な考え方を紹介するものです。個別の税務上の取扱い、相続税評価、総則6項の適用可能性、融資条件、投資収支等は、資産状況、物件内容、取得時期、保有目的、借入条件、相続人構成、法改正等によって異なります。実際の検討にあたっては、税理士、弁護士、金融機関、宅地建物取引士等の専門家にご確認ください。