不動産情報コラム

賃貸物件の解約予告期間|住居と事業用では期間に差も

作成者: ビル管理|Nov 20, 2020 5:50:54 AM

賃貸物件に住んだことがある方は、引っ越しをする際にいきなり退去ができないことはご存じでしょう。契約期間中の中途解約には解約予告が必要となりますが、貸主側からの解約の場合の注意点、住居とオフィスや店舗の違いもご紹介します。

解約予告期間とは

解約予告とは賃借人(借主・テナント)都合の中途解約の場合、賃借人が賃貸人(貸主・家主)に対して事前に解約の意思を通知することです。解約予告期間は解約に要する期間として賃貸借契約で定めてられており、契約内容によって異なります。例えば解約予告期間が1ヶ月間の場合、解約予定日の1ヶ月前までに解約予告を通知しなければなりません。

貸主都合の解約

解約は借主側からに限ったことではありません。貸主都合の解約の場合も存在します。貸主都合の場合は、一般的に6ヶ月前までに申し入れる必要があります。契約期間が定められていて、契約期間満了をもって契約を終了したい場合、契約期間満了日の1年から6ヶ月前までの間に借主に「更新拒絶通知」を出します。契約期間が特に定められていない場合は、いつでも「解約申入れ」を借主に出すことができ、申し入れを行った6ヶ月後に契約が終了します。
このようにみると貸主は簡単に借主を退去させることができるように思われますが、現実は非常に難しいのが現状です。なぜなら借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)によって「更新拒絶通知」や「解約申入れ」は、「正当事由」が必要であるとされているからです。その正当事由は
①建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
②建物の賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況
④建物の現況
⑤建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出
といったことを総合的に検討していくことになり、判断が難しい場合も多く、実質貸主側からの「更新拒絶通知」や「解約申入れ」が難しい仕組みになっています。これは借地借家法が立場の弱い借主を保護することを原則としているためで、貸主が簡単に借主を退去させられないようになっています。

オフィスや店舗の解約予告期間は長め

近住居の場合、借主よりの解約予告期間は1~2ヶ月が多い一方、オフィスや店舗などの事業用の物件は6ヶ月程度が多いようです。規模の小さい物件では3ヶ月という場合もありますがなかには1年という場合もあり、総じて住居よりも長めであると言えます。
借主の立場からすると、オフィスや店舗では物件を借りたときの状態に戻す原状回復が原則です。オフィスの原状回復工事はパーテーションや造作壁の撤去、電話・LAN 撤去工事、部屋表装の張替えなど大掛かりなものが多く、それだけ時間も長く要します。
また店舗の場合、借りたときが躯体むき出しのスケルトン状態であれば、借主の作った内装造作一式をすべて解体撤去し、工事に伴って破損した箇所の補修までしなければならず、こちらも大変な作業です。
オフィス・店舗どちらにしろ、営業終了から解約日までに物件をきちんと返却するには、大変な手間と時間が必要になります。
貸主の立場からすると、オフィスや店舗など開店や移転の準備に時間がかかる物件は、空室募集から契約締結までに日数がかかる場合があります。その間空室となって賃料収入がなくなるリスクを低減するため、次のテナント募集を行う期間が解約予告期間と言えるでしょう。

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この記事の監修

網代 淳一
管理本部部長 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)