投稿日:2021年06月03日 更新日:2024年01月15日

コロナ禍の店舗ビルリーシング│変化に対応できる企画力で出店しやすい環境を創り出す

カテゴリ不動産有効活用・ビル開発

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北辰不動産グループの商業ビルブランドCOCOSPACEシリーズより2020年6月に竣工したCOCOSPACE恵比寿南は、恵比寿駅にほど近い一角に位置する商業ビルで、各階の平面形状が異なる多角形状のデザインが特徴です。飲食店の苦境が続くコロナ禍の市況や、COCOSPACE恵比寿南のリーシングについて株式会社アドバンス・シティ・プランニング「AZplus」の担当者に話を聞きました。

COCOSPACE(ココスペース)恵比寿南事例紹介 
COCOSPACE(ココスペース)恵比寿南
敷地面積:63.76㎡
延床面積:297.70㎡
用途種別:店舗
規模:RC造地下1階地上8階建て
竣工:2020年6月
 


―改めてAZplusについて紹介していただけますか。

 

O:私たちは港区渋谷区目黒区世田谷区の一部、なかでも青山、神宮前エリアと渋谷・恵比寿エリアを2大中心エリアとして店舗・事務所の仲介を行っています。メインは店舗の仲介です。
AZplusを始めてわかったことなのですが、事務所や住居の仲介をやっている会社はたくさんあるんですね。
ただ店舗仲介を専門に行っている会社って意外と少ないんです。

―なぜ店舗仲介を専門にしてる会社が少ないんでしょうか。
O:それはなんといってもややこしいからじゃないでしょうか。

―ややこしいとは?
O:店舗って結局商売が成り立つか成り立たないかがポイントなのですが、私たちにも成り立つか成り立たないかは明確にはわからないものなんです。なのでお客様にはそれなりの覚悟を持って借りていただかないといけないのが一つと、結局すぐに潰れましたってことになってしまうと、仲介としては次に繋がっていかなくなってしまうんです。無理のない範囲で借りていただいて、お客様のお店が繁盛してお店をさらに増やしたり、またお客様から別のお客様をご紹介いただいたりと、次につなげていきたいので、無理な契約はしたくないなっていうのがあるんです。そういうふうに考えるとどうしても簡単には契約に結びつかないものなんです。

―店舗の場合だとただ新しいからいいとかだけでなく設備の点でもできるできないといったことがありますね。
O:正直私たちもなんでもわかっているわけではなくて、調べてわかることはお伝えできるんですが、例えばお客様が使いたいコンロがものすごく電気を使うものだった場合、最終的に使用できるかできないかはお客様自身で調べていただくことにはなります。ただ何も考えずに契約してしまって、後からやっぱりできないということになるとどうしようもないので、押さえるべき確認事項を押さえた上で契約していかないといけません。許認可や用途地域等問題もあります。
そうしたノウハウはAZplusとして蓄積してきたものですが、社内の設計・PM・BM・開発といった部署との連携で可能になっている点も大きいですね。

―飲食店の苦戦が特に深刻だとされているコロナ禍ですが市況に影響は
O:店舗ビルの場合、ここにビルを造ったら何が入るのかを想定して建てないと、新築だからといってテナントがすぐ決まるというわけではないんだなと特にコロナ禍では感じるようになりました。
いま神宮前とか特にキャットストリートを歩くとびっくりするくらい物件が空いています。わたしの印象では東日本大震災の時よりもひどい状況です。リーシング担当者なぜなのか考えたときに、もともとアパレルの物販使用しかできないようになっているからなんです。今のコロナ禍で需要が高いのは「美容・ヘルスケア系」と「個室サウナ」「シミュレーションゴルフ」です。

―ゴルフの需要があるんですか?
O:今、コロナ禍の影響で会食がなくなっているのでコミュニケーションの代わりになっているのと、以前に比べるとゴルフ場の敷居が低くなって20代30代の女性で始める人が増えてるんです。

―なるほど、意外な気がしましたが納得です。
O:物販のためだけに建てられたビルだと、仮に事務所には変更できても在宅勤務が浸透した今では需要に対応しきれていないのが現状です。

―COCOSPACE恵比寿南は、初めから飲食店を想定して建てられていたんですか?
O:そうです。COCOSPACE恵比寿南の企画が始まったのはコロナ前でしたが、飲食対応にするとスペック的には基本的にどんなものにも対応可能なんです。設備的な確認も一番多く必要ですし、夜の営業だと風営などの許可も必要になってきます。保有物件として運用していくにあたり、COCOSPACE(ココスペース)恵比寿南この狭い面積で最大限できることをという視点から企画が始まりました。飲食の中でも重飲食の方が賃料が高く設定できるということで重飲食対応にしています。ただしコストの問題や制約もあって、最終的には全フロアではなく5フロアが重飲食対応になりました。設備に関しては細かいところでいろいろ協議して、できる限り多くの業種・業態のお客様が出店しやすいものになりました。

案内していても、形に関しては賛否両論あったんですが、これをクリアすればほぼどのお客様も「すごくよく考えられているビルですね」とおっしゃっていました。出店する側はたくさん物件を見てこられているある意味プロの方たちです。その方たちからは「設備スペック」や「室外機の位置」、「看板がきちんと設置されている」といった点で「飲食店ビル」としてよく考えられているという声が多かったです。

―COCOSPACE恵比寿南はフロアごとに変則的な形になっていますが、リーシングに影響はあったんでしょうか。
O:正直なところ、普通の四角い整形な間取りの方がもっと早く決まったとは思います。

―飲食店のような一から内装を作っていくのでもやはり変則的な形は難しいですか。
O:そうですね。なんといっても店舗レイアウトが難しいですからね。現地に見に来たお客様からは、「使いづらそう」「思ったより席数が取れない」という声はありました。それらをクリアすれば設備のスペックで問題になることはまずなかったです。
ビルのオーナーとしてはビル全体を「作品」としてデザイン性を付加価値としているので、その辺はどっちが正しいとかではなくバランス感覚が問われるところだと思います。このCOCOSPACE恵比寿南では企画段階から関わっているので、はじめから「これだけのスペック用意してます」とこちらから提案できたので、あとはスピーディーに出店するしないをお客様に判断を委ねることができたのかなと思います。
コロナ禍で今までだったら決まっていた物件が決まらなくなっているのを見ると、やはり新築時の企画、つまり「変化を予測してそれに対応できるかどうか」というシミュレーションがいかに重要かを改めて感じました。 また飲食店の不況が言われていますが、逆に「今だからこそ出店のチャンス」と捉えているポジティブなお客様も大勢いらっしゃいます。コロナがなかったら生まれなかったような変化にどう対応していくのかがポイントなのかなと思います。

この記事の監修

AZplus
(株) アドバンス・シティ・プランニング 企画リーシング部

 

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